Pigeon Post - TAKAFUMI たかふみ: interview|OKKO THE PIGEON GUILLEMOT 海鳩オッコ: projection, introduction|AIKO SHIMAZU 島津愛子: translation, edit, design
thanks to: ROBIN RITOSS for splendid photos, NORAYA ノラヤ (NAHO YAMAMOTO) for our "beloved" green pigeon
November 22, 2015
昨季、結成直後に鮮烈なSD"Carmen Suite"を披露し、世界中のアイスダンスファンの話題をさらったイリニフ/ジガンシン組。
今季も独創性溢れるプログラムをショートとフリーで揃えた彼らに、プログラムに秘めた情熱や、ロシア選手権に向けた抱負を伺いました。
L Elena ILINYKH/Ruslan ZHIGANSHIN R
@ 2015 Cup of Russia
イリニフ/ジガンシン(敬称略): エレーナ・イリニフ選手/ルスラン・ジガンシン選手(14年ロシア選手権優勝 15年ヨーロッパ選手権4位 写真左・21歳/写真右・23歳)
► ジガンシン: ふたりで自然に滑っている
イリニフ: ふたりで共にした出来事が、新しい発見や発想に繋がる
——カップル結成2年目のシーズンは大変なものでしょうか?
イリニフ: どうでしょうか⋯でも、毎シーズン大切なシーズンで、毎年スタートには苦しんでいます。すべてが新しく、前とは違うもの、あるいは前よりも難しいものになりますので。より洗練されたもの、サプライズをもたらしたいと思うので、やることはどんどん高度になっていきます。
——カップルの関係性は昨季よりも良くなっていますか?
イリニフ: (ジガンシン選手に)どうぞ。
ジガンシン: 関係はうまく行っています(笑) インタビューでもよく言っているんですけど、もう他のパートナーと滑っていた感覚を忘れてしまったぐらいです。ふたりで自然に滑っている感じです。
イリニフ: 私も滑っていて心地良いです。私も前の感覚は忘れてしまいましたが、パートナーとの相性については誰も考えないというか、組んでしまえばふたりでやるしかないです(笑)
(パートナーとの関係作りで最も重要なのは)やはり経験を多く積むことでしょうか。今もまだ十分ではないと思うんですけど。人間、機嫌が良い日もあれば悪い日もありますし、私が失敗することもあればルスランが失敗することもある。それがカップルの場合は一心同体なんですね。ひとりに起きたこともふたりで受け止める。カップルは、起ることの全てを共にします。それぞれの道を歩んで来たふたりの出会い、そこから一緒にひとつの道を進むふたりの出来事が、おそらく個々にとっての何か新しい発見や発想に繋がっていると思います。
——今季に向けてどのように取り組まれましたか。
イリニフ: とにかく『サプライズ』がほしかったというか。曲選びも振付も衣装制作も渾身で臨みましたし、ショートもフリーも傑作になりました。
夏の間はリフト等を重点的にやって、主に技術面を強化しました。それから今季のショートのパターンダンスですね。ラベンスバーガーワルツは踊るのがとても難しいダンスです。その上、レベル4を取るための要件を満たす必要もありますし。大体そんなところです。
► 15-16シーズン|プログラム自己紹介
【SD"Queen medley" 振付:アレクセイ・アラポフ】
ジガンシン: 「定番」みたいな曲は使いたくなかったです。皆さんを驚かせるようなものを、と考えていました。音楽はレーナ(イリニフ選手)の選曲です。提案された時はコーチもスタッフも僕も皆すごく驚きました!もちろん、好いサプライズのほうです。
——衣装にはどんなイメージが込められていますか。
イリニフ: 私もルスランも綺麗系でまとめています。曲はロックでもダンスはワルツなので、レザーパンツにTシャツというわけにはいきませんし。
このプログラムのイメージは、ロックのライブ会場やフレディー・マーキュリーだけではないんです。前半は、若い恋人達が一緒にライブに行ったりして恋愛が盛り上がる様子を描いています。後半も若い世代をイメージしていて、落ち着いたワルツの雰囲気のところ、若さのあまり「弾けてしまう」感じ、勢いを出しています。
SD"Queen medley" @ 2015 Cup of Russia
【FD"映画『フリーダ』より" 振付:アントニオ・ナハーロ】
イリニフ: 私が考えたプログラムで、ずっとこの音楽で滑りたいと思っていたんです。昨季、映画『フリーダ』を見て、本当に音楽が素敵で持っていかれました!輝かしい、普通とは違う、けれども美しい曲です。もちろん、プログラムは先生方の御尽力でより良いものになっています。私のイメージを、アントニオが振付にして下さいました。アントニオともっと作品を創りたかったんです。昨季は私達に多くを与えて下さいましたし、今季も引き続きお願いしました。
プログラムはひとりの女性(画家フリーダ・カーロ)の物語です。始めは絵に開眼したというイメージを見せています。絵画を描くことに一心で、キャンバス以外目に入らないような。時に彼のことを想い、それが創作に繋がっています。絵への情熱しかありません。プログラムを通して、人生の苦しみと生きぬく強さを表しています。終生絵を描き続け、彼に見守られながら、命の最後の瞬間まで情熱を燃やして生きた、そのようなシーンで幕を閉じます。
——ジガンシン選手はどのような役作りでしょうか?
ジガンシン: え⋯僕は⋯どう表現するとか役作りとかは分からないんですけど(笑)、この演目では常に彼女に寄り添って、それで⋯これと言って決めてはいないんですけど、添え物みたいな感じでしょうか(一同 笑)
——衣装についてお話し下さい。
イリニフ: フリーの衣装は簡単には仕上がりませんでしたね⋯アントニオから「物語を活かすために、衣装をドラマティックにし過ぎないように抑えて」と言われて。黒で統一し、挿し色や柄でアクセントをつけました。シンプルかつドラマティックなものに仕上がったと思います。私のスカートの装飾の柄の布は、ファブリックストアでたまたま見つけたんです!上質なシルクで、カラフルなお花に(フリーダ・カーロの母国)メキシコ帽(オレンジ色)が入っていて!即買でした(笑) ルスランの衣装は、アントニオから「ルスランも黒がいいね、それにフリーダの自画像か彼女の作品をプリントすれば」とアドバイスを頂きました。衣装に合うような肖像画はなくて、こちらになりました(1947年の作品『Sun and Life』をバックプリントで使用)。
FD"Frida" @ 2015 Cup of Russia
► シーズン後半へ
ジガンシン: ロシア選手権に向け最高の調整が出来る
イリニフ: 目指すべきところは分かっている
ジガンシン: グランプリファイナルを逃しましたが、ロシア選手権に向けては最高の調整が出来ると思います。修正点を直し、プログラムを洗練させていきます。
イリニフ: 今大会は調整不足でしたし、このグランプリシリーズは2大会共強豪揃いの試合でした。ですから、ファイナルに行けなくても落胆はしていません。シーズンの早い段階で、テレビで見るのも「楽しみ!」と思えるような演技を間近で観られて、とてもよかったです。ハイレベルの戦いの中で何かを吸収して、力をつけてきたと思います。目指すべきところは分かっていて、今回は調整期間にも余裕がありますので、全て修正し補足していきます。
ロシア選手権の結果はヨーロッパ選手権と世界選手権の代表選出に関わってくるのですが、ヨーロッパ選手権に向けてピークを持っていきたいです。というのも、ヨーロッパ選手権で良ければ、後々なにもかもうまく回っていくので。シーズン最後の世界選手権の演技で、仕上がったプログラムをお見せしようと思います。ファイナルに出場出来ませんでしたが、今月は私達にとって少なからず成果があったと思います。
——日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
☞ ILINYKH/ZHIGANSHIN イリニフ/ジガンシン組 @ Cup of Russia ロシア杯 on November 22, 2015