Pigeon Post - Pigeon Post 記者チーム: projection, interview, photo, text|OKKO THE PIGEON GUILLEMOT 海鳩オッコ: projection, edit|AIKO SHIMAZU 島津愛子: projection, edit, design
thanks to: JAPAN SPORTS for their whole-hearted works on photos, NORAYA ノラヤ (NAHO YAMAMOTO) for our "beloved" green pigeon
July 24, 2015 in Detroit, USA
L Kana MURAMOTO & Chris REED R
@ Detroit Skating Club
2014年12月28日全日本フィギュアスケート選手権。長野市ビックハットに詰め掛けた観客は、名前をよく知る1人のスケーター、いやダンサーに目を奪われたに違いない。FD"バーレスク"で見せるコケティッシュな笑みとアイスダンス転向1年目とは思えないほどの踊り。人を魅了させる力には舌を巻いた。今シーズンは日本のアイスダンスを牽引してきたクリス・リード選手とカップルを結成し、アメリカのデトロイトで新たな一歩を踏み出した。そんな村元哉中選手に、これまでの歩みとアイスダンス転向後の練習での苦労、今後の展望を含め話を伺った。
KM: 村元哉中選手
PP: Pigeon Post ピジョンポスト
PP: まずはフィギュアスケートを始めたきっかけから教えていただけますか?
KM: 昔神戸に住んでいて、神戸ポートアイランドスケート場に幼馴染と遊びに滑りに行ったんです。そのときに当時そこにいたコーチの方に「教室に入らない?」と誘われまして、幼馴染と一緒に教室に入りました。それがきっかけです。そして本格的にフィギュアスケートを習い始め、初めてプログラムを作ってもらって、それを披露するのに「試合に出ませんか?」と聞かれたんです。最初私は「嫌だ!」と断ったんですけど、幼馴染が「出たい」と言ったから「じゃあ哉中も出る!」となりました。キラキラでフリフリのコスチュームにも憧れていたので。その初めての試合に出てから、ずっとスケートを続けています。
PP: じゃあ最初はお姉さん(村元小月さん)がきっかけというわけではなかったんですね?
KM: そういうわけじゃないです。お姉ちゃんも一緒に教室に入りました。
PP: 幼馴染の方も一緒にスケートを続けていったんですか?
KM: 何年かだけなんですけど、幼馴染はテニスの方に行ってしまって、ずっとお姉ちゃんと続けていました。
PP: お姉さんと家でもリンクでも一緒にいることに関して、難しさはありましたか?
KM: これ言ってもいいだろうけど、しょっちゅう喧嘩していましたよ(笑) 常に一緒にいたので、嫌になってしまうというか、うん。しょっちゅう喧嘩していました(笑) (3人姉妹で一番上にはスケートをされていないお姉さんもいらっしゃるそうです)
PP: 難しい年頃の中高生での関係はどうでしたか?
KM: お姉ちゃんが大学生になったときから喧嘩が減りました。(お姉さんが)高校生のときまでは結構⋯仲も良いですけど喧嘩も多かったですね。
PP: フィギュアスケートを中学生、高校生、大学生と続けていこうという気持ちになったのはどうしてですか?
KM: 中学生のときに一度、1ヶ月から数ヶ月スケートから離れたことがありました。周りの友達は、学校が終われば一緒に遊んだり、みんなでお泊りをしていたのに、私にはスケートがあってそういうことが全然できない。それがすごく嫌でした。そのときは全然スケートをやる気もなく、一度離れてしまったんです。でもいざスケートから離れてみると、何か物足りないというか、「やっぱりスケートって好きだな。大変だけどやりがいがあるな」と感じてスケートに戻ってきました。
高校卒業まではずっとインターナショナルスクールに通っていて、授業が全部英語だったので、スケートを続けるには日本の大学に入らないと難しいから最初は心配でした。アメリカの大学も考えていたんですけど、小さいときからずっとスケートをしてきて、高校生の終わりには上達もしてきたので、もっとスケートを頑張りたいなと思いました。お姉ちゃんも大学でスケート部に入ったので、その道に行こうって決めました。
PP: 子供のときに好きだった選手はいますか?
KM: やっぱり真央ちゃん(浅田真央さん)とか、荒川さん(荒川静香さん)とか。小さいときは太田由希奈さんがすごく印象深かったです。
PP: そういう選手みたいになりたい!とか大きな大会に出たい!とか、そんな風に思いましたか?
KM: 小学生のときは、そういう選手になりたいという目標ははっきりとはなかった覚えがあります。スケートが好きでやっていました。中学生とか高校生になって上達してきたときに、真央ちゃんやそういう選手みたいに上手になりたいなと思いました。
PP: シングルをやっていた時代に好きだったプログラムや思い出に残っている演技・大会はありますか?
KM: やっぱり2011年の全日本選手権で初めて最終グループにちゃっかり(笑)残っちゃったときのショートプログラムのフラメンコの演技なんですけど、それは好きでしたね。
Kana MURAMOTO SP"Flamenco" @ 2011 All-Japan
PP: フラメンコというとアイスダンスに転向してからショートダンスがパソドブレ(闘牛のイメージにフラメンコが加わるダンス)でしたよね。
KM: シングルのときに1回だけフラメンコを本格的に習いに行ったんですけどね。フラメンコとパソドブレは実際に全然違いました。踊り方、目線の使い方とか、細かいところが全然違いました。
PP: シングル時代にいろいろな振付師の先生に振り付けてもらったと思いますが、どの先生が印象に残っていますか?また印象に残っている言葉もあれば教えてください。
KM: みなさん素晴らしい振付師なんですけど、一番よくしていただいたのは宮本賢二先生です。賢二先生にはいっぱい良いプログラムを作っていただきました。私自身は全然気がつかなかったんですけど、賢二先生には「哉中ちゃんは首の後ろから背中にかけてのラインがすごくきれい」と言われました。一度髪を下ろして滑ったときがあって、髪を下ろしたら首のラインが隠れてしまうじゃないですか。そこで「哉中ちゃん、絶対髪の毛くくって滑った方がいいよ。首のラインを見せた方がきれいだから」と。そう言われたのは印象に残っています。
PP: 素敵ですね!
KM: 「首のラインきれい」なんて言われたことがなかったので(笑)
PP: バンクーバーオリンピックでアイスダンスに興味を持ったとお聞きしたのですが、テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアやメリル・デイヴィス&チャーリー・ホワイトを観てどう思いました?
KM: バンクーバーオリンピックの前は、正直アイスダンスには全然興味がなくて。「ダンスやってみない?」と声はかけられていたんですけど、自分には興味が沸きませんでした。でもバンクーバーオリンピックで初めてちゃんとダンスをYouTubeで観て、そこにあったたくさんの動画をずっと観ていた覚えがあります。それでテッサ&スコット、メリル&チャーリーたちの演技を観たときに、シングルとは違う世界が見えました。観ていて楽しいというか、フリーの4分間があっという間に経ちました。男女で滑る、氷の上で創るストーリーっていうのがグッときて、「ダンスってすごいな」と感じたのを覚えています。
PP: 「アイスダンスってすごいな」と思ってから実際に転向を決めるまでも、トライアウトへの声はかかっていたんですか?
KM: それほどではないんですけど、よく試合が終わった後に連盟や周囲の方に「ほんと、哉中ちゃん踊るよね。ダンスよさそう」と言われていて、何度か「ダンスやってみない?」という声をかけられましたね。でもシングルで頑張るのを決めて大学に入ったこともあったので、なかなか転向する勇気がなかったんです。
PP: シングルをずっと続けてきて、どのきっかけでアイスダンスをやってみようと思ったんですか?
KM: 大学に入って2回生になったときに、体に変化もあったり周りの子供たちがすごく上手になってきて、「自分はこれから頑張ってもそんなに上には行けない」という風にモチベーションが下がっていました。あと2年シングルを頑張れるか不安だったときに「ダンスのトライアウトがあるんだけどやってみない?」と声をかけられました。一度経験してみようかなというのと、どんなスケーティングをするんだろうという興味本位で、ダンスのトライアウトに行きました。
PP: ダンスのトライアウトはどういったことをするんですか?
KM: ダンスに興味がある子たちがみんな集まるわけじゃないですか。そこに男の子たちもいるので、パートナー探しも兼ねてスケーティングを一緒にしたり。「2人で滑るのはこういうことだ」と初めて経験しました。
PP: 一緒に滑ってみて「この人違うな」と思うことはあるんですか?
KM: 最初に3人の男の子と滑ったんですけど、それぞれ滑った感じが違います。「息が合う・合わない」っていうのも一緒に滑ったら感じるので。トライアウトに行く前にはアイスダンスは簡単に見えていたのに、実際はシングル以上に難しいのでビックリして、「スケートの基礎が本当に必要だな」って感じて、シングルより興味深いと思ったのを覚えています。
PP: トライアウトを経て、パートナーやコーチはすぐに決まったんですか?
KM: トライアウトのときに紙を渡されて、このスケーターと一緒に滑ってみたいという希望を書くんですよ。当時野口君(野口博一さん)と結成となったのは、私は野口君と滑りやすかったので名前を書いて、野口君の方も私の名前を書いていました。そこで連盟の方に呼ばれて「お互い滑りたいということで、やってみますか?」と言われ、互いのコーチも交え話が進んでいきました。
PP: そして話し合いの結果、海外で練習することになりましたね。海外を拠点にすることに不安はありませんでしたか?
KM: 全くなかったです(笑) 英語も話せますし、前から海外に住んでみたいというのがあったので。
PP: むしろ楽しみの方が大きかったぐらいですか?
KM: はい、大きかったです!
思春期で一度スケートを続けるか否かの壁に直面するするも、「スケートが好きだ」という気持ちで大学生になってもスケートを続けてきた村元選手。続いて、アイスダンス転向後のバンクーバーとデトロイトでの練習について伺う。
バンクーバーではメーガン・ウィング&アーロン・ロウ夫妻に師事し、デトロイトではマリーナ・ズエワに教えを請い練習を積む村元選手。それぞれのコーチの人物像はテレビ画面から捉えられるものとは隔たりがあった。アイスダンサーとして世界で戦っていく強い意志を感じられるインタビューとなった。
PP: 練習はバンクーバーですることになり、そこの練習環境やリンクはどうでした?
KM: すごく良いですね。バンクーバーで滑っていたときは「8リンクス」っていうリンクなんですけど、その名前の通り8つリンクがあります。ビルの中に7面リンクがあって1つがサッカーフィールドなんです。混んでいたら空いている方のリンクに行って滑ったり、すごく良い施設でした。8リンクスのビルの裏側に、トレーニングや体のケアをする大きなアスリート施設がありました。
PP: コーチはメーガン・ウィングさんとアーロン・ロウさんでしたけど、役割分担や指導はいかがでした?
KM: アーロンは緊張していたり疲れているときでもハッピーに笑わせてくれるんです。厳しく見えるじゃないですか?
PP: ええ、ちょっとポーカーフェイスで(笑)
KM: でもすごくおもしろい方なんです。メーガンもアーロンもすごく良い方たちで。メーガンもすごくおもしろくて優しい方ですけど、結構厳しい⋯というわけではないですけどしっかりとズバッと言ってくれます。アーロンの方がお茶目な感じです。
PP: バンクーバーに移って、最初はどのような練習から始めたんですか?
KM: とりあえず、一緒に手を握って息を合わせて滑ったり、男性がリードして女性がそれについていくという練習をしました。まずは「一緒に滑る」ことから始まりました。私と野口君がバンクーバーに行ったのが(2014年の)3月末ぐらいなんですけど、行ってすぐフリーダンスのプログラムを作りました。最初の何日間は基礎だったんですけど、基礎を習いつつフリーダンスを作ることになったのですごく大変でした。
PP: まだ右も左も分かっていない状態で(笑)
KM: どこにどう行けばいいかも分からない状態で(笑) なので振付をやりながら自分で一生懸命考えて勉強していました。
PP: シングルとアイスダンスとでは滑り方も違ってきますか?
KM: まずスケート靴自体が違います。ダンスの靴は、足首のところがV字でシングルと比べて短くて曲げやすくなっていたり、つま先が伸ばしやすくなっているんですよ。ブレード(エッジ)は、シングルと比べてつま先の部分が短いです。ダンスブレードに替えて、最初は全然滑れませんでした。
PP: そんなに違うものですか?
KM: なんか小鹿みたいになって滑れなくて「どうしよう」って思いました(笑)
PP: アイスダンス特有のショートダンスのパターンダンス(※)の難しさはどうでした?
(※国際スケート連盟が定める24種類のリズムの中から毎シーズン1種類が指定される。指定されたテンポの中で同じステップを全てのカップルが行わなくてはならない)
KM: 最初はパソ(パソドブレ)だったんですけど、何種類かパターンダンスがある中では、難しいけれど他のパターンと比べてまだシンプルな方だったりする(※)ので、みんなに「1年目がパソでよかったね」って言われました。でもみんなが同じパターンダンスを滑って、いかに自分が正しいエッジに乗れているかっていう面では難しさを感じましたね。
(※パソドブレは、日本のバッジテストでは8段階中で3番目に難しい「シルバー」級の課題。近年、シニアの課題はその上の級の「プレゴールド」「ゴールド」に属するものから選ばれることが多くなっている)
PP: パターンダンスと他のホールドを組むステップに違いはありました?
KM: 当然両方難しいですけど、パターンダンスはテクニカルパネルとジャッジの方々が全部「このビートではこのステップで、(エッジが)インサイドでアウトサイドで」というのを知っているわけじゃないですか。そういった点では厳しくチェックされるので難しいかな?と思います。
PP: フリーダンスを振り付けてショートダンスの練習もやって、アイスダンスの練習で一番難しかったことはなんですか?
KM: えーもう全部!(笑) 全部難しかったです。常にパートナーが隣にいるわけじゃないですか。今までシングルで自分の世界だけだったので、実際に誰かと一緒にトレーニングをして「同じようにモチベーションを上げる」のが難しかったです。疲れてくると集中力がなくなってきて、お互いイライラしちゃって。共同作業は難しかったです。
PP: 実際に試合に出たときはいかがでした?
KM: 初めて試合に出たのはバンクーバーでのローカル試合だったんですけど、緊張はしたんです。でもすごく楽しかった覚えがあります。シングルとは違って「思いっきり踊っちゃえ!」みたいな。恥ずかしさを捨ててとりあえず一生懸命、初めてあんなに一生懸命踊った感じでした。手先から目線から。
PP: アイスダンサーとして全日本選手権に出場することになって、シングルで出るのとは違いがありましたか?
KM: 西日本や全日本に出る前にメーガンに「試合に行ったらアイスダンサーとしての姿勢、振る舞いを意識しなくちゃ駄目だよ」と言われて、シングルとは違うなと思いました。特に全日本のときは、開会式の場でも常に姿勢を良く、いつ見てもきれいに美しく立っておこうという思いはありました。
PP: 先ほど演技中に「思いっきり踊ってやろうという気持ちになった」とおっしゃっていましたけど、シングルのときの何倍も村元さんが華やかになったように思うのですが、意識の変化はありましたか?
KM: うーんなんだろう(笑) まず体をすごく絞ったっていうのもひとつです。バンクーバーに行ってダンスを始めてトレーニングも頑張りましたし、絞った分体のラインが美しく見える。表現の面でも顔の表現まで勉強しましたし、多分そういった点で華やかっていうのはあるんです。シングルのときは演技中に笑顔を見せることはなかったと思うので。特にフリーダンスは、結構笑ったりセクシーっぽい表情を見せるっていう意図もありました。多分それも込みで華やかになったんじゃないですかね?(笑)
PP: アイスダンスをやっていて他の選手を見る目は変わりましたか?例えば他の選手の演技を観て「ここはすごいな」とか、参考にする部分はありましたか?
KM: あります。みんな、どういう顔の表現をしているんだろうとか。例えば悲しい曲なら、どういう風に動きとか顔の表情に取り入れているんだろうとか。みんなそれぞれプログラムが違うので、本当にどの組でも観て勉強できます。
PP: 全日本が終わって、クリス・リード選手と組むまでは1人で練習をしていたんですか?
KM: その間は本当に大変だったんです。1人で練習していたこともあり「アイスダンスのバッジテストを受けちゃおう」ということで、東京まで行って水谷太洋コーチに相手をしてもらいテストを受けました。そうやってダンスの練習を続けていました。
PP: クリスさんと組むことになったのはスケート連盟のトライアウトで決まったのでしょうか?
KM: そうですね。クリスはお姉ちゃんのキャシー(キャシー・リードさん)が引退して。こないだキャシーが言ってくれたんですけど、クリスは「全日本のときに哉中ちゃんの演技が印象に残った。キャシーが引退して次に滑るとしたら哉中ちゃんぐらいだ」と思っていてくれたらしくて。当時(トライアウトのとき)私はそれを知らなかったんです。そしてトライアウトに呼ばれてクリスとも一緒に滑ってみて⋯という感じでした。
PP: 今までやってきてクリスさんはどんな人柄だと感じましたか?
KM: クリスの顔にも出ていると思うんですけど、本当に穏やかで。うん、穏やかという言葉しか出てこないんですけど(笑) 優しそうな方だなっていう印象は、以前からずっと見ていてありました。
PP: クリスさんと組むことになって今度はアメリカのデトロイトに移りましたけど、デトロイトでの生活についてはどうですか?ひとり暮らしをされていますか?
KM: ひとり暮らしです。デトロイトはバンクーバーと比べて全然違います。カナダは移民国でバンクーバーは本当にアジア人が多くて、外に行っても周りがアジア人ばかりなのであまりアウェイには感じなかったです。デトロイトは白人と黒人の方が多くてアジア系が本当にいない。私が今住んでいるのはデトロイトの中心部よりちょっと離れているところなので治安も良いです。でも、バンクーバーだと夕方ランニングしに行けたんですけど、デトロイトはちょっと怖いかな?って。
PP: デトロイトに移ってからの練習量はどれぐらいですか?
KM: 日によってスケジュールは変わるんですけど、早い日には5時半に起きて6時半か7時から練習。最近は9時からという日もありますが大体7時から練習を始めて、ちょっと休憩してまた練習して休憩して⋯という繰り返しで1日中リンクにいて、リンクを出るのが夕方の4時とか5時とかが多いです。クリスの膝のことも考えて練習量を調整しています。練習が終わった後にトレーニングをしたりバレエがあったりしますね。本当1日中リンクにいます。
PP: マリーナ・ズエワさんの指導はどうですか?
KM: 最初にマリーナさんって聞いただけでも「あ、マリーナ・ズエワコーチ!」みたいな感じで(笑)、厳しいイメージがあったんですけどすごくおもしろい方で、本当にアイスダンスが好きなんだなっていうのが伝わります。
PP: 失礼ですけどちょっと怖いイメージもありますよね(笑)
KM: ありました(笑) 最初はガチガチに緊張していたんですけど今は楽しいですし、いろんな曲がかかる度にマリーナコーチは1人で踊ったりしています。
PP: バンクーバーとデトロイトでそれぞれ先生につきましたが、教え方に違いはありますか?
KM: バンクーバーにいたときはメーガンとアーロンともう1人の3人ぐらいの先生に1日30分程度見てもらって、その他は各自で滑ってたまに声をかけてくれるという感じでした。デトロイトは先生が多くいて、1組ずつ見てくれます。教え方も先生それぞれで違います。自分たちに合うやり方を先生それぞれが提示されるんですよ。
PP: 同じクラブにいる他のカップルとも教え方が違うものですか?
KM: 違うと思います。先生同士の意見がたまに合わなかったりしますし。自分で「どのやり方が一番良いか」っていうのを見つけるのが難しいですけど、大事です。
PP: 今シーズンのショートダンスの課題はラベンスバーガーワルツ(日本のバッジテストでは「ゴールド」級)ですね。昨シーズンのパソドブレとの差はどうですか?
KM: めちゃくちゃ難しいです(笑) パソと比べてステップの数も多いですし、すごいテンポが速い(約0.3秒の刻みで3拍子を取る)んですよ。それに「きちんとした正しいエッジでワルツの世界を見せる」っていうのはすごく難しいです。明るいワルツもあるし暗めのワルツもあるし、試合を見ていてすごく楽しいと思います。「みんな、どんなワルツを踊るのかな?」というのが楽しみです。
PP: 今シーズンの振付はマリーナさんがされたんですか?
KM: マリーナ以外にも何人か。マッシモ(マッシモ・スカリさん)も振り付けてくれたし、ちょっとした部分はマリーナ先生がやってくれたし、いろいろな振付がミックスされた感じですかね。
PP: チーム全体でやるみたいな感じですか?
KM: でもメインはマッシモです。
PP: 曲はまだ秘密ですか?
KM: はい、曲はまだ秘密です(笑) 後ほどいつ発表するのかクリスと相談します。今年のフリーはすごくおもしろいというか、いい感じのプログラムなので。
PP: 分かりました(笑) 楽しみにしておきます!今シーズンの予定はどうですか?
KM: はっきりとは立っていないです。まだ100%出るかは決まっていないのですが、こちらでのローカル試合が8月末にあるんです。それにショートだけかもしれませんが出るって感じで。海外試合はまだはっきり分からないです。運が良ければNHK杯に1つスポット(開催国枠)が空いているのでそこに入れたら「ヤッター!」って感じですね。決まっているのは東日本、その後の全日本です。
PP: 今シーズンの目標をお願いします。
KM: 目標はいっぱいあります。今までは『キャシー&クリス』っていう姉弟でやっていたイメージなんですけど、姉弟でやるダンスと血が繋がっていない人がやるダンスでは違う世界が出せると思います。とりあえず「この新しい『哉中&クリス』という日本のダンスチームは、こんなにダンスできるんだよ!」というのをアピールしていきたいと思います。
PP: 楽しみにしています!それでは、これからという長いスパンでの目標を教えてください。
KM: 絶対に世界選手権に行って「戦えるダンスチーム」になるのが目標ですし、その先の2018年のオリンピックに出場して、「トップと戦える」ぐらいに成長して日本にメダルへの貢献ができるような日本代表のダンスチームになれたらなと思います。それと「アイスダンスの世界で印象に残るダンスチーム」にもなるのが目標です。
PP: シングルからアイスダンスに転向した立場から、「日本のアイスダンスはこれからこうなって欲しい」という想いはありますか?
KM: 私がダンスを始める前と今とを比べたら、ダンスに興味を持ってくれた方は増えたと思うんです。でもまだまだ日本でスケートをしている男の子は少なくて、みんなシングルに行きがちです。それでも、「ダンスにはシングルの世界とはまた違った世界があるんだよ」というのを伝えると同時に、もっとアイスダンスに興味を持ってくれる人が増えてほしいです。
PP: 最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。
Kana MURAMOTO @ Detroit Skating Club
KM: 新しい『哉中&クリス』のダンスチームを応援していただきたいのと、私たちもこれからの新しい道をすごく楽しみにしているので、みなさんも楽しみにしてください!クリスの膝もとても良くなってきているので、クリスと一緒に頑張ります!応援よろしくお願いします!