title_mail.jpg 2015年ロシア杯 エレーナ・ラジオノワ選手インタビュー
Pigeon Post interviewed Elena RADIONOVA @ 2015 Cup of Russia (Rostelecom Cup) in Moscow, RUSSIA. ((saved from J SPORTS site 掲載媒体ページ消去につき転載致します))
thanks to: ROBIN RITOSS for splendid photos, NORAYA ノラヤ (NAHO YAMAMOTO) for our "beloved" green pigeon
text by: TAKAFUMI たかふみ
November 22, 2015

Elena RADIONOVA エレーナ・ラジオノワ © Robin Ritoss
Elena RADIONOVA @ 2015 Cup of Russia


氷上でいつも明るく元気なエレーナ・ラジオノワ選手。取材の際にも、思わず笑顔になる瞬間が多くあります。今までとはまた異なった、少し大人びたプラグラムを揃えた今シーズン。その変化やこれから追い求めるものを、語っていただきました。




► 成長が見えたり見えなかったり、それがアスリートだと思います。成長を演技で出せるようにする


——ロシア杯を終えての感想をお願いします。

今シーズンのスタートはよくなかったです。怪我をしてフィンランディア杯に行けませんでした。その後の中国杯には、インナコーチが来られませんでしたし、あまりいい演技もできませんでした。モスクワに帰ってきたときには、すごく落ち込んでいました。乗り越えなければならないことですが、また背も伸び始めました(ISUバイオでは163cm)。
なので、今大会はとても嬉しく思っています。まずは自分に打ち克つことができましたし、クリーンに滑れることも証明できました。それが私にとっては本当に重要なことでした。ここまでが本当に大変だったので。プログラムを滑り切って、とても嬉しいです。

——今大会は不安な状態で迎えられたのでしょうか。

基本的に不安にはなりません。フリーは何が起こるかわかりませんでしたし、若干不安でした。6分間練習後にすごく時間がありましたし、正直、演技をしなければいけないというのを忘れてしまいました(笑) 40分も空いて「これから滑らないといけない」という考えがどこかに行ってしまいましたが、身体をさまさないようにしていました。ただ、精神的には落ち着いていました。中国杯の後、より自立できましたし、どう本番まで調整するかというのがわかっています。その経験が活きました。

☞ 結果・採点表


——ロシア杯でフラワーガールをされたこともありますね。

そうですね。小さい女の子たちを見て、私も前はあんな風に有名な選手にぬいぐるみとかを運んでいたな、と。いずれトップで滑るようになるスケーターも出て来るでしょう。素晴らしい未来を確かに感じました。私だって、ジュニアからシニアに移ったころは、この状況が信じられませんでした。周りは皆有名な選手で、浅田真央選手とお話も出来たんです。自分はまだ15歳で、経験豊富なタイトルホルダーの選手たちがそこにはいました。自分が本当にそのレベルに行っているとは信じられず、「考えられない!」と。私たちは皆、そのために練習して滑っているんですけれど。
今では多くの方々と知り合いになりました。シニア2シーズン目に入ったので、皆さんに知られていますし、皆さんと話もします。前は誰にも知られていませんでしたし、私も恥ずかしがって誰とも話しませんでしたから⋯。英語ももう障害にはなりません。
(演技に臨む気持ちは)同じですね。ただリンクに出て行って、できることをやり、誰のことも見ないように。自分のやることをやるのみです。


——フリー後に「新しいレーナになった」と言われていましたが。

ラジオノワ:それは単に、背が伸びたというだけです(笑) 夏に5センチは伸びましたね。自分自身では、目立った変化は感じませんけれど。「同じレーナ」です。氷上でも同じレーナです。でも、成長が見えたり見えなかったり、それがアスリートだと思います。成長を演技で出せるようにする。「新しいレーナ」は⋯「中国杯の後の生活」には当てはまるでしょうか。そこから精神的に自立してきたと思います。




► 15-16シーズン|プログラム自己紹介


【SP"Je t'aime" 振付:ニコライ・モロゾフ】

ニコライとの取り組みはとてもよかったです。たくさんのことを経験させてもらいました。より成熟した、女性らしい演技ができるようになったと思います。ニコライの選曲で、この音楽が好きです。ただ私に合っているというだけではなく、すごく滑りやすいんです。音楽が好きだと、練習も随分捗ります。


Elena RADIONOVA エレーナ・ラジオノワ © Robin Ritoss
SP"Je t'aime" @ 2015 Cup of Russia


【FS"映画『タイタニック』より" 振付:ニコライ・モロゾフ】

これまでに『タイタニック』の演技を私は見たことがなかったですし、フリーのテーマをこちらに決めました。歌詞も認められるようになり、「やらない手はない」って。とても美しい音楽です。プログラムは和やかに楽しい雰囲気で始まりますが、悲恋の物語へと移り変わります。フィナーレで流れるのは切ない愛の歌です。演じていても、セリーヌ・ディオンさんの歌声で目に涙が浮かびます。皆さんにもこの物語を感じていただけるよう、クリーンに情熱的に滑りたいです。


Elena RADIONOVA エレーナ・ラジオノワ © Robin Ritoss
FS"Titanic" @ 2015 Cup of Russia




► ロシア選手権がどうなるかは、誰にも想像できません。全てのスケーターにチャンスがあります。


——今後の試合に向けてお聞かせください。

ロシア選手権は⋯皆優れたジャンパーかつ素晴らしいスケーターです。「精神力」というか、気持ちを強く持てる選手が勝つのではないでしょうか。ロシア選手権がどうなるかは、誰にも想像できません。全てのスケーターにチャンスがあります。ただ、待つだけです。
(構成は)1ヶ月しかないですし、変更はありません。
グランプリファイナルは、ロシア選手権の直前になるのですけれど、非常に重要な試合と捉えて臨んでいます。グランプリファイナルはトップ選手が切磋琢磨する、権威ある大会だと思います。そこで得られるものは大きいです。もう3年続けてファイナルに出ますし。一昨年が4位で昨年が2位でしたので。




► 振付師、女優になりたい


——来年は進学の年ですね。

その前にロシア選手権に出ないと(笑) 今年は10年生から11年生の学年で、12月には統一国家試験を受けるための論文を書かないといけません。11年生になるための試験もあります。そこに来てグランプリファイナルもあります。全てやり切れるかは、わかりません。「今年一杯は試験で休みがない」ということはわかります(笑) でも挑戦して、頑張って大学に入りたいです。
体育学部に進むのですが、最初は気が進みませんでした。他のことも学びたいと思っていました。でも、現状ではスケートと学業の両立が大変だということで、母とも相談してロシア国立体育大学を目指すことにしました。
現役を引退してから志望を決めます。2つ目の学位をとることも考えています。
(志望するのは)振付のお仕事は魅力的だと思っています。でも主には女優になりたいです。ロシア国立演劇大学やモスクワ芸術座に進むかもしれません。

——映画出演のお話もあったそうですね。

2年ぐらい前に、「Mosfilm(ロシアを代表する映画会社)」から戦争映画の主役級のオファーがありました。ある日お電話をいただいて⋯「私に!?」という(笑) なぜ私が選ばれたのか未だにわかりません。でもスケジュールが合わなくて、すぐお話はなくなったんです(笑)





► 理想は定めていない。特別なもの・誰もやったことのないものを追い求めています。


——スケートではどんな演技が理想でしょうか?

理想は定めていないというか。アタラシイこと・面白いことをやるのが好きなので。私のプログラムでは、同じような演目って珍しいと思います。いつも同じように滑るのはつまらないです。特別なもの・誰もやったことのないものを追い求めています。


——日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

☞ Elena RADIONOVA エレーナ・ラジオノワ選手 @ Cup of Russia ロシア杯 on November 22, 2015


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