Fumie SUGURI wraps up her 2010-2011 season with Japan Skates
Our Japanese correspondent Aiko interviewed Fumie 村主章枝選手 in February after the National Winter Sports Championships @ her office "Sunny Side Up" サニーサイドアップ.
by AIKO SHIMAZU 島津愛子
February 9, 2011 in Tokyo

Fumie SUGURI 村主章枝 © Gigi Hsueh
2010-11SP"Adagio" @ 2010 Skate Canada


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JS: 今季から、選手と社会人の二束のわらじを履かれていますが、新しい環境に満足されていますか?

FS: ライフスタイルが変わり、新しい出会いがあり、色々な意味で社会人として勉強させてもらえる機会を与えて頂いたので、選手と会社員を両立する環境を選んで、とても良かったと思っています。

JS: お仕事とスケートの練習の両立については、いかがですか?

FS: 学生時代も、練習と学校の勉強は両立していました。周りの方からは、「大変じゃないの?」と言われますが、なんとか両立できています。


JS: 今シーズンのプログラムを振り返って、いかがでしょうか?

FS: フリーのほうは⋯ 最後の国体で まぁまぁ、というかんじでしたが、ちょっと滑り切れなかったな、という思いはあります。ショートは、全日本で、比較的良い出来で滑れたんですけれども、それでも、『作品』としては まだまだで、30%から40%位の仕上がり具合でした。

JS: 国体では、ショートもフリーも『作品』としてはよかったのでは?

FS: いやー。全然。

JS: いいえ!ひとつひとつの音にきもちが込められていて⋯

FS: いえいえ。入り方があまかったなと思います。

JS: でも、国体のフリー、サルコウ*が入りましたね!(*得意のルッツフリップより、難易度の低いジャンプ)

FS: 入りましたね!最後の試合でやっと。神が降りて来ましたね(笑)


JS: 全日本の後に、「今季はいろいろと変えてきた」とコメントなさっていましたね。まず、ユニークだなと思ったのは、陸上の400M/800Mのコーチ(ロシア人の五輪メダリスト)の元で骨格を矯正されているということです。

FS: 今季から新しいトレーニングを始めたのですが、その先生からすると、私の骨格が気に入らないと⋯

JS: 「骨格」から、ですか?どういうトレーニングなのでしょうか?

FS: 関節を正しい方向に収めるように、正しい位置に正しい筋肉をつけるという練習内容です。

JS: それから、「スケーティングも変えた」とのことで。ドリームズ・オン・アイス(6月)で実際に拝見して、「すごく速くなったな」と思いました。映像で見てみると、フォームが明らかに変わっていますね。

FS: GPSカナダ大会とフランス大会を見比べると、変化が分かると思います。ただ、まだ問題点はありますね。

JS: 国体の6分間練習の中で、一歩でスーッとリンク半分ほど滑られていて、「フォームを意識されているんだな」という印象を受けました。

FS:(スケーティングを変えたのは)元々はジャンプに問題があって。やはり、ジャンプのレベルが上がっているので、それに追いつかなければなりません。また、年齢的なものも関係していると思いますが、勢いとか力任せでは押し通せなくなってしまいました。全体をより効率良く滑るためには、そういう部分を変えていかないと難しいかなと思っています。しかし、スケーティングが変わったことによって、力の入れ具合・タイミングが変わってきているので、とても苦労したシーズンでした。


JS: 16年連続で出場されている全日本選手権ですが、今大会の総観として、全日本ではジャンプが決まらないと勝てないんだなと実感しました。

FS: 今は、日本人選手だけではなく、海外の選手のジャンプも向上していますしね。なんと言っても『競技』ですから、ジャンプが決まらないと勝てない部分はあるかもしれません。

JS: 私は、章枝さんのスケートはコンテンポラリー・アートであり、コンテンポラリー・ダンスだと思っています。

FS: ありがとうございます。

JS: でも、そんな章枝さんも、実はずっと、全日本でジャンプを決めて来られてたんだな、と思い返しました。


JS: 今季の全日本選手権についてですが、フリーでは、後半のジャンプが崩れるシーンもありましたが、ショートでは、ルッツフリップが両方入りましたね。勝負強い章枝さんを見ることができました。

FS: 今季はジャンプに苦労していたので、ジャンプが入ったという意味では、今季の練習成果は出たのかなと思います。ただ、『作品』としては、演じ切れていませんでした。

JS: ショートでルッツフリップが入った選手は、章枝さんだけでしたよ。

FS:(エッジ違反で)ディダクションされてしまうため、他の選手はエレメンツに入れないですよね⋯

JS: そう、エッジの問題があるから、ルッツとフリップのどちらかを外したり、あるいは、両方入れても、エッジ違反のプレッシャーで失敗してしまう選手もいる中、章枝さんは決めましたよ!


JS: 章枝さんらしいなと思うのですが、御自身のプログラムを「他のスケーターがリメイクしてもいいのでは?」と、ユニークなことおっしゃっていましたね。

FS: そう、ローリー(ニコルさん)が今まで作ってくれたプログラムには、本当にいいものがたくさんあります。私が選手生活を終えた時には、是非リメイクして滑ってほしい。自分がもう一度滑りたいと思うプログラムもいっぱいあります。でも、私が滑ると継承にはならないので、おもしろくないじゃないですか。次の子に伝わると、ローリーの『作品』として継承されて、プログラムがずっと残っていきます。

JS: ローリー・ニコル作品の保存ですね。

JS: 私は、"ボレロ"(2007-08SP)が一番好きなんですけど⋯

FS: ありがとうございます!

JS: 今の章枝さんが滑ると、さらに迫力のあるプログラムになるのでは、と想っています。

FS: あれは難しかった。

JS: でも、素敵でしたよ。

JS: 来季もローリー作品になりますか?

FS: 多分。今、そういう話し合いをしています。もしくは、今季のプログラムをもう一回滑ることも考えています。

JS: もったいないですよね。

FS: もったいない。


JS: ちょうど今、エキシビションの選曲をなさっているそうですが、いつも御自身でプログラムの選曲をされているのですか?

FS: 曲を決めて、方向性を決めて、ある程度プログラムのアイディアを持って行くようにしています。


JS: 昨季、現役続行の決意と共にスポンサーを募られ、サニーサイドアップに入社されました。現役続行の理由はいろいろと語られていましたが、章枝さんならではの、「競技を続けたい」という、理屈にならない強い想いがあったと思います。そんな想いをどうにか伝えられたらなって⋯

FS:(即答)好きだから!ですね。それに、この競技に、すごく才能が有ったわけではなく、むしろ無かったので⋯

JS: 「むしろ無かった」ですか!?

FS: 周りにいる人は知っていると思いますが、スケーターとしての今があるのは、色々な方の指導を仰ぎ、練習を積み重ねてきた結果です。簡単に出来ない競技だからこそ、おもしろいと感じます。それから、芸術が好きだから、っていうのが一番かもしれません。

JS: そうですね、技をこなしながら・速いスピードで長い距離を移動しながら踊る、というのは、他のパフォーミングアートにはないですものね。


JS: 最後に、ファンの方々が気になっていることだと思うのですが、ロマンスがおありとのことで⋯

FS: エッ!?

一同 (笑)

FS: どこから!?どんな噂ですか?私が知りたい!

JS: えー。噂だったんですか⋯ 私は、30歳の章枝さんが、全日本のショートで、ディダクションされつつもルッツとフリップを決められたことは、女性アスリートとしての偉業だと思っています。

FS: ありがとうございます。

JS: そう、それはやはりロマンス⋯

FS: のおかげ、って?そう来たか!

一同 (笑)

JS: 今後、ロマンスがあれば⋯

FS: もっと演技の幅が広がる、って?私もそう思います!ハイ!

一同 (笑)

JS: 逆に、ロマンスがあると、「競技は、もういいや。」ってなるのかも?

FS: そうはならないと思いますね。競技にはプラスになるのではないかと期待しています!

JS: あくまでも、競技ですね。来季も、イゴール(パシケビッチ)コーチの元、ロシアでフィギュアスケートに恋して下さい!



Japan Skates では、東日本大震災で失われた命を想い、被災された皆様を支援し続ける気持ちを忘れない、ということをテーマに、日本を代表するスケーターの方々にお話をお伺いして、それぞれの想い、メッセージをお届けしております。


Yuzuru HANYU 羽生結弦, Daisuke TAKAHASHI 高橋大輔, Shizuka ARAKAWA 荒川静香, Nobunari ODA 織田信成, Fumie SUGURI 村主章枝 © Paja
Yuzuru, Daisuke, Shizuka, Nobu, Fumie

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