Japan's Depth - Behind Japan galacticos Figure Skating Team #4 Kento NAKAMURA: A Coming Up Rose of Japan
Our Japanese correspondent Aiko interviewed Kento NAKAMURA 中村健人選手 @ Meiji Jingu Gaien 明治神宮外苑.
thanks to: JAPAN SPORTS for photos, PAJA for illustrations
by AIKO SHIMAZU 島津愛子
September 4, 2011 in Tokyo

中村健人 Kento NAKAMURA © Japan Sports
2011-12SP"Fugata" @ 2011 Dreams On Ice


☞ in English


JS: 健人さんを紹介するにあたって、「イケメンスケーター・中村健人選手です!」

JS: ⋯っていうのに、私はすごく立腹していて。

KN: ⋯(笑)

JS: 健人さんがハンサム兄さんなのは紛れもない事実なんですけど、「イケメンイケメン」言うフレコミに腹が立って!

KN: ハイ(笑)

JS: 気高いスケーティング・高さも幅もあってローテーションでも魅せるジャンプ・踊り心・アジア人には出せない迫力と西洋人には難しい間合で繰り出される、見得を切るムーヴ!⋯御自身では「変な優しさ」と評されていますが、その深い深い情が舞台で独特の"圧"を生む、パフォーマンス!⋯と、見どころがこんなにもあるのに、そこ(「イケメン」)かい!と。⋯健人さんは、どうですか?

KN: (笑) それに対して?僕がどう感じているか、と?(笑)

JS: そうです!言ってやって下さい!

KN: (笑) 返答が難しいです!(笑) なんだろう⋯ 言われて、嫌な感じはまったくありません。他にキャッチコピーがなかったらそれでいいかな、と。そう言われると、むしろうれしいほうです(笑)

KN: 例えば、なでしこジャパンも優勝することで注目されて、「女性達が頑張ってるから、サッカー見てみようかな」というところから、真のサッカーファンになる、っていう方もいらっしゃると思うので。僕に注目して下さって、それをきっかけに、フィギュアスケートを好きになって下さる方がいらっしゃったら、うれしいです!導入部分が何であれ、そうやって注目されることは、スポーツの発展には大事です。

JS: 「ーという、そんな中村健人選手です!」

中村健人選手: 立教大学二年生の20歳。2010年全日本ジュニアチャンピオン、2010年全日本選手権8位、2009年JGPF出場。


JS: 昨シーズンのお話をお願いします。

KN: シーズン当初は、一昨年のJGPFに出場したので今年も⋯ という期待に応えなくちゃ、でも練習もいまいち出来ていない、調子も上がって来ない⋯ 「大丈夫かな?」という不安の中でやっていて。同じ舞台に立ち続けることも難しいんだな、と痛感しました。

JS: 昨季の場合、全日本ジュニア(1位)と全日本(8位)、世界ジュニア(14位)が健人さんの主要大会だったと思うのですが、それに向けての調整はいかがでしたか?

KN: 全体的に言うと、突き詰められなかったです。練習で突き詰められなかった部分が、試合に出て来てしまって。やり切れなかった、というか。結果に対して「なんで出来なかったんだろう?」と言うより、自分でそういう結果になる原因を作ってしまっていたので。「ちゃんとやれば出来たんじゃないかな?」という後悔もあります。昨季は、自分に対してあまい部分が出過ぎていたと思います。

KN: 今もまだそういう面がありますが、去年と同じことを繰り返していては成長していないことになるので、そこをまず変えていきたいと思います。試合で技術を発揮出来るかどうかも、気持ちの問題だと思うので。今年は、去年克服出来なかった点を踏まえて、ひとつひとつ、試合の中で成長した姿を見せられたらな、と。なおかつ、それで成績も残せたら⋯ もってこいだな(笑)、と思っています。

KN: 世界ジュニアに関しては、全日本ジュニアで優勝した身でもありますし、出場選手の中では経験があるほうだったと思います。その経験を活かし切れないで日本人最下位というのは⋯不甲斐なかったです。なにより、応援して下さった皆さんに申し訳なかったです。自分のベストを出さなければ、先に繋がっていきません。昨シーズンを振り返ってみて、ところどころは良かったかもしれませんが、「波があるな」という印象です。応援してもらっている以上、安心して見てもらいたいな、と思いますし、波があると己に不安も出て来るので。⋯変えていきたいです!

JS: 世界ジュニアについて、なのですが⋯ 私は、結果(SP15位FS14位総合14位) はこちらにさて置いておくとして、戦い方としては素晴らしかったと思っております!

KN: ⋯(苦笑)

JS: 世界ジュニアの健人さんが大好きで!

KN: ⋯ハイ(笑)

JS: 自分は陸上をやっていたので、陸上みたいに「レース展開」をプログラム中に見てしまうんですけど、「今、これだけ乳酸が出てる」とか、

KN: 細かいですね(笑)

JS: (笑) そう、細かくレースとして分析してしまうんですけど、世界フィギュアの健人さんは、SP/FS共に始めからかっとばしたな、と思っていて。ショート("Bugle Call Rag" =BCR 同シーズンのショーナンバーでもある)では、ループの大分前からキビシイ感じで、「乳酸来てる来てる⋯」って。踊りも、気は入っているのに身は入っていないような。気持ちはどんどん行ってるのに、体がついて来ないところ、乳酸がフェイドイン、そういう日あるある、と。でも、そこで乳酸に負けずに、最後のステップに「(乳酸の)ばーかーやーろーうッ」って感じで入られて、無理から上げて行かれてて!

KN: ⋯(笑)

JS: あれは、BCRのストレートラインステップの中で、エキシビション(EX)を含めても一番好きで!でも、スピンに入る前に、ステップで上げた勢いをどうしても止めてしまうので、また乳酸の波が来て⋯ 【沈みゆくのを無理から上げて、再び下がる時】の、あの、乳酸に溺れる感じ!「それ、分かる分かる」と思いながら、止まっちゃうキャメルを見ていて。で、とうとう最後倒れちゃったんですけど⋯

KN: (笑) いやぁ〜⋯ ツライな、というのもなくはなかったですけれど⋯ やはり、練習不足で。2シーズン前の良かった頃の感覚ではなくて。調子が悪くても乗り越えられる、転倒しても諦めることなく最後まで"自然と"体が動く、練習でそのようにやれているからそれを覚えている体が後押ししてくれる、そういう感覚が良かった頃はあったんですけど。滑っている時の安心感がなかったと思います。

JS: ⋯いやぁ〜。よいレースだったと思いますよ。フィギュアスケートが単にアートであるなら、不出来なプログラムだった、ということになるでしょうけれども、スポーツの側面から見た場合、「ナイスファイト!」盛り上げてくれたな、という好演だったと思います。倒れた後も即座に立ち上がって決めポーズに入られたり。

KN: 最後まで諦めなかったのは少しは評価出来るかもしれませんが、最後ツライのは誰だって一緒ですから、あそこは耐えないと!

JS: フリー("Malaguena")のレース展開は、ショートとはうって変わって、踊りに気も身も入って、スタートから絶好調でかっとばしてて、でも、サーキュラーステップくらいから「ヤツ(乳酸)が来た」と。

KN: ⋯(笑)

JS: そうして、後半2本目のアクセルが回転せずAになって⋯ ジャンプのミスが続く一方、健人さんは祈り込めるように見得を切り続けられていて。これがフィギュアスケートじゃなくてパフォーミングアートだったら失敗作なのかもしれませんが、懸命というスポーツマンシップが素敵でした!そしてその懸命こそ、アートだと思いました。

KN: ⋯ありがとうございます!(笑)

JS: よいプログラムを、ありがとうございました!

JS: フリーの前半からとばせるということは、スタミナに自信がおありなのかな、と思っているのですが。

KN: いやぁ〜⋯ あの時は「スピード出して、とにかく勢いをつけたい」と。でも、普段出来てなかったので、最初は良かったんですけど最後まで持たなかったのかな、って。

JS: 日に日にコンディションは違いますし。

KN: それを、なるべく同じようにすることが大事です。

KN: 世界ジュニアは、ジュニアの集大成という意気込みもあり、いろんな思いを抱えて臨みました。精神面でもフィジカルでも物足りなさを感じました。まだまだやるべきことは多い、ということを教えてくれたのが、世界ジュニアでした。良いところもあったし、悪いところも出ました。結果としては悔しかったのですが、「ここで落ち込んでいてもしょうがないから、やるしかない」と開き直れたのも世界ジュニアですし、様々な失敗を通して「今までの僕は、まだまだあまかった」と改めて実感しました。そういった面では、よい経験になった大会だったと思います。


Kento NAKAMURA 中村健人 © Paja
2010-11FS"Malaguena" @ 2011 Jr.Worlds


JS: BCRでは、これまでになく、ハヤイ動きがにぎやかに組み込まれていて、小柄ではない健人さんのイメージが変わりました。振付は、(高橋)大輔さんやあっこちゃん(鈴木明子選手)のクイックで綿密な振付でおなじみの宮本賢二さんです。意識的にそういうムーヴを取り入れようとされたのでしょうか?

KN: 意識的に、というか、やらざるをえない、という。「自分にはこれが出来ない」と決めつけたくなかったので、挑戦という意味で変えました。「イメージチェンジとして頼んでみたら?」と樋口先生に言われて、先生が頼れる賢二先生にお願いしました。初めて取り組むジャンルの踊りを、初めて教えてもらう先生に振り付けてもらって、ジュニア最後のシーズンにいろいろと新しいことに挑めたプログラムだったと思います。

JS: これまでのプログラムは、クールに魅せるようなパフォーマンスだったと思うのですが、swing jazz ということもあり、なつっこい演技で、見ている人との心の距離がすごく近いな、と思いました。先日、賢二さんにもお話をお伺いしたのですが、「健人が、ひとりでにたのしそうにやっていた」と御満悦でおっしゃっていましたよ!

KN: よかった〜(笑)

JS: 「健人さんの情が深いところが、ガッツリ出てます」とお伝えしたら、とてもよろこばれていました。

KN: (笑) BCRは、僕にとって、よかったです!今まで、「スケート」って言うと、クラシックとか映画の音楽とか真面目な雰囲気のイメージだったので⋯ 僕にとって新しい世界、と言いますか、「公式戦でも真剣におもしろさを伝えられたら、またそれもひとつの表現なんじゃないか」と思って。

JS: BCRは、お客さんが健人さんの"圧"の中に入ってる感じで。

KN: (笑)

JS: 「ふわふわドーム」って御存知ですか?

KN: いえ(笑)

JS: あの、デパートの屋上とかにある、空気が詰まった、ちびっ子がふわふわするドームですよ!

KN: あー、ハイハイ。

JS: BCRは、その、ふわふわドームの中みたいです!

KN: (笑) ちょっと想像がつかないですけれど⋯

JS: (笑) 想像を絶するたのしさです!うれしすぎて、おしまいには日曜日の夕方みたいな気持ちになります。

KN: (笑)

JS: また、賢二さんは、健人さんの「体の力を抜く」ことに取り組まれた、ともおっしゃっていて。健人さんは、体に力がみなぎっていてアジア人離れした体の動かし方なので⋯

KN: それは、特に言われますね⋯ 賢二先生は、やわらかい動きで大きく見えるんですよ。そのほうが、ガシガシしているのより体力も消耗しません。そこは尊敬するところでもありますし、作って頂いた先生の動きになるべく近づきたい、という思いもあります。先生に振り付けてもらって、特に勉強になった部分です。先生との振付は、たのしいんですよ!一見厳しい反面、僕のことを変えてくれようとしているのが伝わってきます。

KN: 賢二先生の振付は2年目で、今季のものと合わせると3作目になりますが、全部、僕に新しい動きのジャンルを与えてくれているので、⋯今シーズンは、ほんとに!少しでもその期待に応えられるように、と。自分のためにも先生方のためにも応援して下さる皆さんのためにも、頑張っていきたいと思っています!

JS: ⋯不思議だな、と思うことがありまして。BCRは、EXで3Aの助走まで全開で踊ってるのに3Aが決まって、でも試合になるとEXほどは踊りに身が入ってないのに3Aが決まらない、という⋯ さらには、DOI(ドリーム・オン・アイス)のオープニングのキャスト紹介で名前をコールされて真っ暗なリンクへ出た途端にGOE+2くらいの3Aが決まるのに、という⋯ ミステリーなのですが。

KN: (笑) それは、僕も不思議です。⋯練習不足、じゃないですかね?

JS: 自分は、BCRは、作品としてはEXのほうが好きで。

KN: 競技、ってなっちゃうと違いますね。EXは、縛られてない感じがあります。⋯ただ、EXで出来ることは、公式戦でも出来ると思うんで、

JS: そうですよ!出来るんですよ!

KN: (笑) そこが、もったいなかったな、とは思いますけれど⋯

JS: 不思議なものですね。

KN: はい(笑) 不思議ですよ、ほんとに。


Kento NAKAMURA 中村健人 © Paja
2010-11SP"Bugle Call Rag" @ 2011 Jr.Worlds


JS: 今季のタンゴのSP"Fugata"も賢二さんの振付で、女性をリードするイメージの振りが散りばめられていて、2人で踊っているかのようです!健人さんの見得を切るムーヴも盛りだくさんで。DOI(6月末)では、作って一週間ということで、踊りも「まだ全然ッ」とおっしゃっていましたが⋯

KN: 最近は、タンゴの先生に手や首の動きを指導して頂いているので。少しは上達していると思います。フガータでは、技術を決めるだけではなく、いかに振付も見せられるか、が念頭にあって。手や首の動かし方・背中の開き方が間違ったままでは、昨季までやっていたフラメンコと区別がつかなくなってしまいます。「昨季はフラメンコ・今季はタンゴ」といかに思ってもらえるか、いかに違いを見せられるか、「差別化」が大事なところです。「なんだ、タンゴって言ってるだけで、曲変えただけのフラメンコじゃん」って言われたら終わりなので、タンゴのイメージを大切にしています。

JS: 折り目正しい!

KN: 特に歴史のあるダンスで、熟年の皆さんが表現舞台をリードされていますので、「こんなに若いうちからタンゴをやっていいの?」とも、若干思っていました。いかにそう思われないようにするか、それを長期的なスパンで考えながら、今シーズンのメインの試合に一番の状態で見せられるように、と臨んでいます。

JS: 具体的に、タンゴとフラメンコの違いを健人さんはどのように捉えられているのでしょう?

KN: 僕の中では、やはり、手の動かし方です。僕自身の手の動きにもくせがあって、賢二先生からも「それはフラメンコだよ」って言われました。ダンスの型がそれぞれあるので、それに合わせなければなりません。また、タンゴは女性と組んで女性を気遣って踊るものです。自分勝手にやるものでもないですし自分だけを表すものでもないので、フラメンコと同じようにやってしまうと「アレ、相方どこ行っちゃった?」というハメになります。

JS: ⋯見えないけれど、健人さんと踊っている女性を、感じますよ!

KN: ありがとうございます!

KN: 今季は、国内では特にタンゴが多いと思うので、例えば、全日本を見る方に「またタンゴのプログラム⋯」ではなく「中村健人のタンゴはちょっと違うね」と思ってもらえるように。

JS: Viewpoints という、1970年代に振付師 Mary Overly さんによって確立されたパフォーミングアートの手法で、「内面と外面の表現」というのがあって。フガータでは、「内面」の心象的で抽象的な部分が=男心な、健人さんの見得のパートで、「外面」の具象的な部分が=タンゴの、相方さんとのパートだな、と想っていて。「内面と外面の踊りが両方入っていますね?」と賢二さんにお伺いしましたら、「そう、それについて語るとなると3,4時間かかっちゃう」って。それぐらい考えられた振付だそうで。御自身では、内面と外面の踊りを分けて見せようと思われていますか?

KN: 「分ける」のではなく、なるべくひとつのプログラムとして見せたいですけど、頂いた振付をしっかり演じた上で、なおかつ、個性が出せて「中村健人のタンゴ」と思ってもらえれば。求められたものを出し切った上で『自分』を出したいです。

JS: 出てます、出てます!御自身でも、見得を切るムーヴは「『自分』だぞ」と思われていますか?

KN: 最近では、鏡を見て練習したり。⋯やっぱり、かっこいいほうが、いいわけじゃないですか!(笑)

JS: (笑) そうだそうだ。オス万歳!

KN: (笑) 女の子みたいにふわぁ〜っと優雅に舞うのも大事ですけれども、優雅さと力強さが両方あれば、と思っています。

JS: 賢二さんは、このフガータでは「健人がかっこいいのが裏目に出る」ともおっしゃっていて。かっこいい者がかっこいい振りをこなせていないと、ますますかっこ悪く見えてしまう、と。

KN: それは⋯ 言われましたね。

JS: だから、鏡の前で練習しなさい、って。その「鏡の前の練習」って、どういうものなのでしょう?

KN: リンク周りには、意外と鏡みたいに映る素材があるんですよ。鏡がなければ、それに変わるものに映して。

JS: 止まって踊るのですか?

KN: 氷の上でやるわけですから、止まった状態で出来なければ滑って出来るわけがないので。踊りの形も作らないといけないし、滑る足も気にしなくちゃいけないので、どっちも中途半端になってしまいます。陸でいかに練習出来るか、ですね。

JS: ⋯その、「鏡の前の練習」、見てみたいですねぇ〜。

KN: (笑) たまぁ〜にやってますよ。リンクが混んでる時とか。

JS: いつか見られますように!

JS: ⋯クラシックロックで、Curt Boettcher の "Misty Mirage" というアルバムタイトルがあって。 Misty(涙目でうるうる) Mirage(幻影) ってどういうことなんだろう、と思っていたのですが、DOIでフガータを見ていると、健人さんの"圧"に押されてか、これまでに好きだった人と一緒にいた時のことが浮かんで、消えて。Misty Mirage の意味が分かりました。タンゴは「男女の物語」と言われますが、健人さんのタンゴは、カタルシスのあるタンゴです!


KN: 今季のフリー("Symphony No.3 by Saint-Saens")も、賢二先生に作って頂いて。

JS: わー。そのお話は賢二さんに聞けなかった⋯

KN: 今回、自分で、すごくいろんな曲を聴いて。樋口先生とも選んで。3〜400曲くらい!

JS: !!

KN: 「クラシックを使おう」ということになっていたので。ツタヤに行ったり、ショップで購入したり。候補曲が10何曲にもなって大変だったんですけど、その中から選び抜いて。今のところ集まった感想では「健人らしい」との声が多くて。「やったな!」と思っています。

KN: いかにスケートを綺麗に見せられるか、というのが勝負ですね。ジャンプも見せたいんですけど、何か"武器"がほしいので。僕の中では、滑りと表現を一番見てもらいたいです。交響曲第三番はサン=サーンスの生涯最高傑作、ということで、いかに傑作の音楽を傑作に出来るか!できれば、2シーズン使いたいです!


JS: その、滑りについてですが、健人さんは、膝下のラインが決まっていて、その凛としたスケーティングが健人さんの風格にもなっていますね。小さい頃から、そういったスケーティングを心がけられていたのでしょうか?

KN: 小さい頃に怪我をしていたので、やることがなくてスケーティングの練習をしていたんです。樋口先生、重松先生もスケーティングがすごく綺麗だったので、先生方に御指導頂きました。朝はこのステップをしてから曲かけの練習、というのが両先生のレッスンで。

KN: スケーティングをさらに改善して下さったのが樋口先生です。「それなりにサマになっているけれど、まだ、それなりなんだよ」と。もっと上行かないと、って。限界を作らず、パトリック・チャンみたいなスケーティングになるように。彼と同じようにはいかないけれども、近づけるように、それをさらに越えられるようにしていかないと、「シニアでは通用しない」と言われたので。練習を重ねていますがまだまだです。

KN: 教えられたことをやるだけではなく、最近は特に、自分がどう動いているのか、ということを意識するようになりました。自分が想っているような動きに実際はなっていなくて、理想と現実のギャップを感じていたので。ここのところ自分の演技をよく見るようになって、「⋯全然じゃん!」って。先生から教わる際に、氷に薄く映る自分のラインを見て「こうやったら綺麗になるかな」と意識してやっています。

JS: 主に確認されているのは、姿勢でしょうか?

KN: 姿勢とかですね。もっと細かい部分もありますが、とりあえず、指示された形に少しでも近づけるようにやっています。


JS: 昨季の2月の冬期国体でお見かけした際「ずいぶん体に軸が出来てきたなぁ!」と感嘆していて、先日のDOIの際「また一回り大きくなったぞ」と。今見たら、僧帽筋大円筋広背筋大臀筋がえらいことになってて。みるみるオスらしい体格になられていく健人さんですが、どんどん体型が変化されるので、それが、ジャンプに不利なのかな?と思うのですが。

KN: 外国の選手は皆大きくなるけどやれているので、そんなこともないんじゃないかな、って。僕は、体幹がしっかりしている、というのが一番じゃないかと思っています。ジャンプには、練習あるのみです。試合で助けてくれるのも練習ですし、自分の理想とするジャンプを習得するのも練習です。口で言うものではなく体を動かすことなので、練習しないことには始まりません。昨シーズン、ジャンプが不安定だったのは、僕の練習不足もあったと思います。今シーズンは、うまく練習を積んで臨めていますので、この時期としてはいいほうじゃないかな、と。

JS: 女子は、体型変化が不利と言われるので、男子もそうなのかな?って思ってました。

KN: 逆だと思います。男子は、力がついてくるので、飛べなかった人が急に飛べたりする。ハタチ超えてから急に飛べるようになる人もいます。

JS: パトリック・チャンも!⋯オス化して大きくなるのはいいことなんですね。

KN: 大きく見せられるのも、便利なのかな、って。大きくなっても、体をうまく使わない限り大きく見えないんですけど。大きくなったほうが、見栄えとしてもいいんじゃないかな、って。⋯大き過ぎず・小さ過ぎず、ぐらいが一番じゃないかな、と(笑)

JS: ⋯とは、大きからず小さからずの中肉中背選手の弁です(笑)


JS: 健人さんは、パフォーマーとしての気骨があって、姿がコンフィデントで。ジュニアはジュニアでも、外国のジュニアみたいだなぁと想っていましたが、すごく気を遣われる、生粋の日本の方ですね。いつも外に気を張り巡らせている分、舞台で発散されているのかな、と想っているのですが。

KN: んー⋯(困) たしかに「よく見ている」ってまわりには言われますが⋯ そこまで「気を使っている」という意識はないです。

KN: 基本的に、リンクに立って踊り始めは緊張しますけど、あとは、たのしんで。やはり、あの長い時間あの広い空間を一人で使う、ということはそうないじゃないですか。それが、うれしいな、と!自分が踊ったことに対して拍手をもらえると、「やってきてよかったな」と思う時もありますし。練習が辛い分、本番やショーで成果を見てもらって拍手をもらえる、というのはうれしいことです。

KN: ショーでは、いろんなスケーターを見て勉強になります。試合とは違う、ショーらしい動きをしなければ、と。なにより、試合とは違う自分を見せられるんじゃないかな、と期待しています。それに見合った動きをしないと、という緊張もあります。試合でも、もちろん緊張します。どこかで欲も出ますし、それをうまくコントロールしなければならない、というプレッシャーもあります。

JS: フィギュアスケートにはそれほど試合がないし、健人さんは、試合がたのしいタイプの選手なのかな?とも想っているのですが。

KN: い~やぁ~。⋯たのしいかたのしくないか、と言ったら、うーん⋯ そんなにたのしいものでもないと思います(笑)

JS: (笑) い~やぁ~。⋯やってるうちに、たのしめた、という感じでしょうか?

KN: 最終的に、最後に皆でわいわいするのも全部含めて、たのしかったかな、という。さっきまでライバル同士で戦った人達とこんなに分かり合えた、とか、この人達と戦ったおかげでモチベーションが高まって練習出来た、とか、この人こういう技やってきたから「ちょっと改良して盗んじゃおうかな♪」とか。試合は、いろんなことを学べる場ですね。

JS: ⋯「盗んじゃう」!(笑)


JS: 樋口先生は、テレビの解説でおなじみの、あの穏やかな調子で指導されるのでしょうか?

KN: 穏やかです。常に、穏やかです。「怒らなくても、分かるようにならなくちゃいけないでしょ、あなたもう子供じゃないんだから」という感じの先生で。怒られるのも大事だと思うんですけど、手を出さないと分からないようでは、だめだ、と。自分で自分のことをシビアに考えて、律していかないと、って。「必要であれば、何でも言ってくれればいいし」という先生ですので、違った意味の厳しさがあるのかな、と思います。表には厳しさを出されていませんが、優しさの中に厳しさがあります。


JS: 自分は、健人さんは氷のおしゃれ番長!と思っていて。とにかく、衣装のファブリックやディティールが凝っているな、と。お母様の作品なのでしょうか?

KN: 母とドレスメーカーの方が作ってくれます。いつも良い衣装を作ってくれてるんで⋯ で、「皆と同じにしたくない!」って母は言っていて、「こういう曲調だと、こういう色かな」とかいう僕の提案は、ほとんど却下です(笑) 「それじゃあ、人と同じになっちゃうよ!」って。僕は平凡なタイプなので⋯ おしゃれに関しては、まだまだで。

JS: いえいえ。本日の装いも、さりげなく着こなし上手な感じですよ!お似合いです。⋯私は、いくら素敵な服でも、本人に似合ってないとだめだと思っていて。フィギュアスケートでも、ジュニアの体でシニアみたいな服着てたり、少年がちびっ子みたいな服だったりしたら、いくら舞台衣装でもおかしい、って。その点、健人さんは年相応というか。"The Mission"(2009-10SP)の頃は、大人っぽい健人さんに少年のかわいらしさがほのかに残っていて、衣装もそれを引き立たせていましたね。

KN: 今回のショートとフリーの衣装も、最高にイイです!⋯衣装負けしないように!ドレスメーカーの方と母には感謝しています。

JS: BCRのEXは、公演されるごとにアレンジが変わっていきましたが、あれは、健人さん御自身のスタイリングですか?

KN: ショーのバックステージにあったものとか、あるものの中から着てみたんですけど(笑)

JS: (笑) ⋯全日本の後のメダリスト・オン・アイスで「(スタイリング)完成したな」って。着こなし上手だなと思っていて。

KN: 一緒に出演していたスケーターからも、なかなかの反響で(笑) 「すごい格好だね!」って(笑)

JS: ?「びっくり」のほうですか?

KN: 日本人で短パンで滑ってる人、いないじゃないですか。ちょっと浮いてたかも。

JS: イヤ!あれは膝小僧見せなくっちゃ!

KN: (笑) そこを大事にしたかったんで。


Kento NAKAMURA 中村健人 © Paja
2009-10SP"The Mission"


JS: フィギュアスケートを続けさせるものは、どんなところでしょう。

KN: それは、やっぱり⋯ あの空間で一人で自分を表せるところだと思います。一人一人、演技や表現の仕方が違うし、同じ曲でもそれぞれスタイルが違うので、己の個性を見せられるところに魅力を感じます。ジャンプは、たしかに大事です。男子シングルと言えば、ダイナミックなジャンプ・速くて細かい、メリハリのあるステップ・速いスピン⋯ といろいろありますが、それら全てを総合した『プログラム』というものを、それぞれの個性で見せる。あの大勢の観客の前で、あれだけの時間、あの広い氷面を、一人で使える。それが、時に人を感動させることもある。勇気を与えられることも出来る。それを、一人でやれるスポーツは少ないと思うので。

JS: アーティストリィですね。自分は、スポーツとアートが一緒になっているところが、たのしいぞ!って思っているのですが、スポーツとしての魅力はどうでしょう?技を磨いていくのは、たのしいし。

KN: ⋯まぁ、大変ですけど(笑)、成功したら、たのしいかな。でも、大体、大変なほうが多いかな、って(笑)

JS: (笑) 見るのとやるのとでは大違い、と。

KN: メダルなんかを取った時に、うれしいのかな、って。練習が尋常じゃないからこそ、たのしさ・うれしさがあるのかな、と思うのですが、⋯どうでしょう(笑)

JS: こう⋯ 運動が大好きなスポーツファンが「出来るものならやってみたい!」、その最たるものがフィギュアスケートのジャンプだと思います。人力では成し得ないハヤサの助走で、おそらくは人類史上最も細かい刻みのタイミングで、回りながらフライ・アウェイッ ⋯という。「マルコヴィッチの穴」みたいなのがあればいいのに、って。⋯健人さんは、ジャンプ、お好きじゃないですか?

KN: (苦笑) うーん、ジャンプに関しては⋯ そんなに得意なほうでもないので(笑) 新しい技を覚えて、飛べた時はほんとにうれしいです。試合に向けて調子を上げていくと失敗しなくなるので、そうなるとたのしいです!⋯でも、「ジャンプやりたい!やりたい!」って、特には思わないです(笑) はっきり言っちゃうと!(笑)

JS: はっきり言っちゃった!(笑)

KN: どちらかと言えば、スケーティングのほうが好きです。長くスーッと滑ることに魅力を感じています。氷が削れていく様子ですとか。

JS: 踊りが流れて見えますよね。他のパフォーミングアートにはないところです。スピンも、陸ではありえないムーヴが出せると思うのですが。速く回転するだけではなく、定点でポジションが変化するので、万華鏡みたいで。

KN: スピンは好きです。バリエーションが多いほうではないですが。

KN: ⋯「何に魅力があるか」っていう質問、なんなんだろう?(笑)

JS: (笑) 出来ないから、魅力を聞いて、やった気持ちになりたい訳です!

KN: (笑) 僕の中では、練習した分だけ結果が出るのがスピンなので、だから好きなのかな、と。あまりにジャンプが調子悪い時は、スピンの練習して新しい技を覚えようとしますし。⋯ラクだから(笑)っていう部分もあるかもしれないです。

JS: 「ラク」!(笑)


JS: ⋯一昨日は羽生結弦選手に取材させて頂いたんです。自分より御年配の方々⋯記者の皆さんとスケーターの皆さんが各自個別取材されている部屋に通されて、焦りと妙な意気込みでテンパッてしまったところ、結弦さんは「大丈夫大丈夫」って感じで。優しくて、あまりにも大人で!

KN: 彼は大人ですよ!⋯ゆづ(羽生選手)のスケートを見るのは、いいです。僕には足りないものばかり見られるので。

JS: 柔軟性とか?

KN: いえ、もっと違う、内面的なものです。言葉ではなかなか表現出来ないです。「羽生結弦」っていう選手像、ですかね。

JS: ⋯魂まるごと、全てを投げ打っている感じ、とか?

KN: 彼のスケートに対する想いも、全て含めて、勉強になります!


JS: 立教大学二年生になられた健人さんですが、スケートと学業の両立について、お聞かせ下さい。

KN: 僕が、スケートと勉強を両立しよう、と本格的に思ったのは、中学三年生の頃です。それまでは、どちらかと言うとスケートばかりで。中学一二年の頃は、調子が悪くても勉強に力を入れなかった時期だったので。でも、高校受験をしなくちゃいけない、という段階になって、中学三年生の春頃に、ちょっとばかにされたことがありまして。「スケートしか出来ないよね」って人に言われてしまって。でも、それで、僕の中で何かが弾けた。「いや!そんなことないから!俺だって出来るよ!」って。そこから、すごく勉強しましたね。最初は、あまりにも出来なくて泣いてしまうこともありました。「勉強してもうまく行かない・練習もどうなんだよ⋯」みたいな時もあって。ただただ、毎日やみくもに勉強しました。夏休みには、9時間10時間以上勉強する日もあって。練習時間よりも勉強の時間を取っていたと思います。

KN: 高校に入ってからも、「絶対ばかにされたくない!」と、一年生から大学受験が終わるまで勉強し続けて。勉強していたら成績も上がっていくので、それがおもしろくなってきて。そうなると、勉強が好きになってきちゃって(笑)

JS: 知識が増えていくと、世界が広がってたのしめますしね。

KN: そう、だから、勉強に苦はなかった、というか。むしろ、勉強してから練習したほうが調子が良かったり。自分の思う水準の成績を出せたことが、自信になっていって。「スポーツをやりながらも、勉強が出来るんだ!」って。高校三年間は、それなりに両立が出来て、うまくバランスが取れていました。充実した日々だったと思います。そのうちに、「スポーツと学業を両立したほうがいいんだな」と思い始めて。

KN: でも、大学に入って、一気に生徒の規模も大きくなって専門的な履修内容になって、課題も出て難しい勉強が必要になってからは⋯ 大学はいろんなクラスがあって、自分のやりたい勉強もあるんですけど、それを全部取ろうとすると、練習に支障が出ることに気付きまして。ちょっときついな、と思い始めてきて。宿題をやって夜更かしして、次の日の朝起きるのが大変になって、練習に行っても調子が悪くて落ち込んでしまったり。「⋯効率が悪いな」と。「文武両道」というのは、すごく響きがいいんですけど、両方をパーフェクトに持っていくのは、不可能なんじゃないかな、って。それが結論ではないのですが、そう思うようになりました。何かを得るためには、何かを犠牲にしなければいけない、と。いろいろ欲張りしてしまうと、体も壊してしまうかもしれません。なにより、これからシニアで、試合に向けて調整を頑張っている選手達と戦っていくことを考えた場合、勉強と掛け持ちの選手より、そのためだけに突き詰めている選手のほうが、やはり強いと思うので。僕の中でのこれまでの文武両道は50/50くらいだったので、「あまいな」と言う人もいたと思います。そこが、僕のあまかった部分です。「スポーツは今しか出来ないから、ならば、今はスケートを頑張ろう!」と思って、前期の大学を終えて、文武両道のプロセスを見直してみて、自分の文武両道を「まずは、大学を四年で卒業すること」に変えて。最低限のところで全力を尽くせたらいいかな、という目標に変えたので、ちょっと安心しました。「どれも頑張らないといけない・成績を上位にしないといけない」という考えも入学当初はあったので。それから解放された感じにもなって、気楽になりました。「今はスケートを頑張って、その中で、最低限の勉強もやる」と。それが、今の僕の文武両道です!

KN: 勉強はいつでも出来るんじゃないか、とも思っていますし、これまでチャンスを与えてもらっている中そのチャンスを逃してきているので。これからは、それを、逃したくないんで!

JS: 立教大学は、樋口先生がフィギュアスケート部のコーチをされていますが、それで選ばれたのでしょうか?

KN: いえ、全部自分で考えました。親も、何も言ってこなかったです。ただ、「自分で考えて決めないと、通わせない」とは言っていて。唯一聞いてきたのは、「それでスケートも頑張れる?」ということで。「自分で決めたことは自分でやって」と。全部自分の決めたことで動いてきました。いろんな大学の資料を見ましたし。⋯推薦もありましたけど、ちゃんと勉強もしながらスケートも頑張れそう、というところを総合的に判断して決めました。大学生活では、いい友達にも出会えていろんな刺激をもらえているので、すごくよかったです!今は、大学が大好きですから。

JS: 「大学で、これを勉強する」ということも考慮されて選ばれたのでしょうか?

KN: ハイ!全部繋げて。自分の興味があること・目標とするものに繋がるように。⋯求めていない方向に進んでも、意味がないので。推薦があっても、学部が指定されるのがほとんどで、「⋯文学に興味もないのに、文学部入ってもしょうがない!」って(笑) たとえそれがすごく有名な大学でも。「学歴社会」とは言いますけれど。立教大学も立派な大学ですから、そこで、本気で自分の学びたいことを学べるというのは、恵まれていると思います。

JS: その、健人さんの目指されている方向や「学びたいこと」について、お伺いしてもよろしいですか?

KN: 僕は今、経営学部で経営関係を学んでいるんですけど、企業の前でプレゼンが出来るんですよ。これまでに、A社・B社・C社、

JS: オオッ!

KN: ⋯の、3社をクライアントに「今こういう問題を抱えているから、企画を考えて下さい」という依頼を受けて、僕達がいろんなことを調べて「その状況を打破するためには、こんな企画どうでしょう!」って提案するのを、90組くらいのチームが競い合って、残った5組がプレゼン出来るんです。だから、実戦的、と言いますか、ためになります。他の大学ではやっていないやり方で、僕はそれがすごく気に入っていて!

KN: 今はスケートを頑張るので、将来のことは具体的には考えてないのですが、ただ、食品関係の仕事がしたいな、と。自分の創り上げたものが、直接社会に出回ったり人の口に入って、よろこびを与えられるように、というのが目標です。もともと、"食"に関しては興味があるので。将来そういったことがやれたらいいな、って。それでもし自分が店を経営するとなると、「経営」関係の勉強をしなきゃいけないな、って。でもって、実社会の企業に企画提案が出来る、となると、もってこいだな、と。そうやって繋げてみて、選びました。

JS: ⋯ハァ〜。立派だなぁ!

KN: (笑) 口で言うのは簡単なんですよ!

JS: お店屋さんか⋯ 例えば、今、このお店(カフェ/ビストロ)では、私達みたいなお客さんが絶対イヤなんですよ。コーヒー1杯で長居してるから。

KN: そうですね!

JS: そう。自分はお店屋さんの子で育ったので、「ここは、働いてる人が何人・この立地で経費はこう・客単価はこれくらい⋯」とか、見て計算しちゃう。

KN: そうですねぇ⋯ こういうカフェ系のお店は、「回転力」が命ですからねぇ。

JS: !!(笑) まさか、フィギュアスケート選手から、その「商売人ワード」を聞こうとは!

KN: (笑) そういう授業もありますからね。イタリアンだとか、コース料理を売りにしているところであれば、長居してくれてても儲かります。いろんな営業形態があって、それぞれどのように戦略を立てていくか、という。

JS: ⋯(笑) あのプログラムの氷面下に、商売人の姿があろうとは、誰も想ってないですよ!


中村健人 Kento NAKAMURA © Japan Sports
2010-11EX"Bugle Call Rag" @ 2010 Medalist On Ice


JS: お別れに、Japan Skates Interview の恒例の質問なのですが、「今までファンの方からもらったプレゼントの中で、一番不思議なものは?」

KN: 「不思議なもの」!?(笑)

JS: (笑) そう、「これはどうしたものか?」っていう。

KN: 海外遠征に行くと、ラグビーボールとかおもしろいものを投げ込まれるんですけど、そこで、ばかデカイサングラスを頂いて。着けられるわけもないし、「⋯ど、どういうことなのかな?」って(笑) それは結構みんなもらってましたけど。あとは⋯ 「不思議」⋯ 「不思議」って難しいですね。

JS: 逆に、「これは精巧な職人の技だな」っていうプレゼントには、どんなものがありましたか?

KN: 「青いバラ」!一緒に試合に出ていた女子選手達も「なにこれ、すっごく綺麗!」って写真に撮って行って。黒い箱に入っていて、銀色のキラキラしたものがまぶしてあって、それは今も玄関に飾ってあるのですが、すっごく綺麗で!

JS: 造花なのでしょうか?

KN: どういうものなのか、分からないです。綺麗なので触りもしないです!それから、ミッションの衣装を模したサルのぬいぐるみとか、僕の絵を描いて下さったのとか、あとは⋯ 昔からアザラシが好きなので、アザラシのものとか。

JS: そういった素敵なものばかりで、不思議なものはまだもらっていない、ということで。⋯あ!じゃあ、先日自分がお持ちした「朝からアイス」が一番不思議でしたか?

KN: (笑) あれは⋯衝撃でしたね(笑)

JS: (笑) 「運動やってる者は、朝甘いものを食べろ!」という教育があって。氷の人達も、朝甘いもの食べてるぞ、と思っちゃって。

KN: アイスは、1日に1個必ず食べたいくらい好きなんですけど、朝食べたらおなか壊しちゃいそう(笑)

JS: じゃあ、健人さんのもらった一番不思議なもの、「朝からアイス」で!

KN: (笑) なかなか斬新でした。

JS: (笑)

KN: ⋯やったじゃないですか!「一番不思議なもの」、島津さんのですよ(笑)

JS: やったった!「ISU不思議なものグランプリシリーズ・ケント大会」優勝ッ 勝ち点15!

JS: ⋯って、よろこばしくない。絶対ファイナル出たくないですよ!(笑)


JS: 最後に、皆さんへのメッセージをお願いします!

☞ Kento Nakamura 中村健人選手 @ Meiji Jingu Gaien 明治神宮外苑 on September 4, 2011

JS: ⋯「四回転」!?

JS: ⋯

KN: (笑)

JS: DOI(6月末)では、「回ったことはありますが⋯」って!この2ヶ月ちょっとのうちで!?

KN: 降りました。もう、飛べるということは分かったので。応援よろしくお願いします!

JS: ⋯ハ⋯ハイッ!

KN: (笑)


ー 9月のオンドレイ・ネペラ・メモリアルではフリーで3Aを2回決め、11月の東日本選手権ではショートのジャンプを全て成功させた中村選手。クリスマスの全日本選手権で、再び、小塚・織田・高橋・羽生・無良・町田・村上選手という四回転を持った強豪に挑みます。


☞ Becoming more beautiful, much stronger - Kent is on course! 2012年10月のインタビュー