text: OKKO the PIGEON GUILLEMOT 海鳩オッコ
posted on February 10, 2014
((担当: 海鳩オッコ Okko the Pigeon Guillemot))
☞ 高橋/木原、ヴォロソジャール/トランコフ、サフチェンコ/ゾルコヴィー、パン/トン、デュハメル/ラドフォード、ムーア=タワーズ/モスコヴィッチ組 on J SPORTS
デュハメル/ラドフォード組 2014年カナダ選手権インタビュー on J SPORTS
☞ SP|☞ FS
彭程(ホウ・テイ)/張昊(チョウ・コウ)
中国代表
2013年ISUグランプリファイナル4位
前パートナー張丹と、トリノオリンピックで銀メダルを獲得した張昊。しかしその後、身長が170cmまで伸び続けた張丹は、張昊の身体にかかる負担を重く見て、2012年に引退を決断。張昊は彼女の応援を受けながら怪我を克服し、14歳年下の新パートナーの彭程と歩み始めました。
組み始めは経験の浅い彭程をベテラン張昊が支えることが多く、先生と生徒のように見えたものですが、2シーズン目の今季に彭程が爆発的に成長。表情に柔らかな余裕が漂い、柔軟性を生かしたポジションと体重を感じさせない軽さで、張昊の力強さが目立っていた演技に独特の清涼感と浮遊感を加えています。
SP『グリーン・デスティニー』、FS『黄河協奏曲』ともに中華of中華な選曲。特に見どころは、フリーで見られる4回転ツイストで、このオリンピックで彼らしか挑まない大技です。その最高到達点の高さと回転速度は人知を超えたものですが、ふんわりと笑顔で降りてくる彭程はまさに妖精としか思えません。
クセニア・ストルボワ/ヒョードル・クリモフ
ロシア代表
2014年欧州選手権2位
躍進めざましいロシアの昇り龍ペア。2009年に結成し、そのシーズンの世界ジュニア選手権でいきなり銅メダル。シニアに完全移行した2011-12シーズンの欧州選手権でまた銅メダルを獲得。今季はヴォロソジャール/トランコフと同じニーナ・モゼルコーチの門下へ移籍し、中国杯で初のGPSメダルを獲得、国内選手権で優勝、さらに先日の欧州選手権ではなんとフリー1位を獲得して総合2位と、飛ぶ鳥を落とす勢いです。ペアの勢いのままに、スピードと演技の流れもプログラム全体で途切れません。さらに今季はコーチ変更が功を奏したか、各エレメンツの質と安定感がぐっと上がりました。
SP『Surrender』は、爽快なスピードでかっ飛ばす異色のフラメンコ。曲の盛り上がりとともに加速していくようなステップを最後の締めに持ってきています。FS『アダムス・ファミリー』は、昨季からの続行プログラムだけに、コミカルな演技が板についたキュートで楽しい作品となっています。
ステファニア・ベルトン/オンドレイ・ホタレック
イタリア代表
2014年欧州選手権4位
ベルトンは、ノービス時代にアイスダンスを経験し、ジュニア時代にシングル転向、欧州選手権にも出場経験のある美女。ホタレックはチェコ出身で、こちらもシングルスケーターとして活躍してきた美男子。そんな美男美女が2009年からペア結成し、2011年にGPSメダル、2012年に欧州選手権メダル、2013年にGPS優勝と、3つの「イタリア初」をイタリアのペア界にもたらしました。武器は3連続が飛べるほど安定感のあるソロジャンプ。そして、リフトにしろステップにしろ、とにかく目を引く華やかさが備わったペアです。
映画『マスク』の曲を使用したSPは、彼らの陽性の魅力を存分に味わえるプログラム。ラテンのリズムに合わせて踊りまくるステップシークエンスがクライマックスです。FS『ドラキュラ』はSPとは対照的に、彼らの静の魅力を生かし、耽美でゴシックなプログラムに仕上げてきました。
ヴェラ・バザロワ/ユーリ・ラリオノフ
ロシア代表
2014年欧州選手権3位
華奢で可憐な女性と、たくましくも優雅な男性がクラシカルな演目を美しいスケーティングで滑る、ペアの王道のようなペアです。2005年にペア結成、ジュニアデビュー後すぐに頭角を表したものの、ラリオノフの頭痛薬がドーピング検査に引っかかり2年間の出場停止ということがありました。ジュニア時代の2年間をバザロワは待ち続け、復帰後にバンクーバーオリンピックの代表を勝ち取ります。その後欧州選手権のメダル獲得など実力を発揮し期待されながらも、双方に怪我があり、昨季の世界選手権の前にニーナ・モゼルチームに移籍し、オリンピックシーズンに臨みました。
SPは映画『ライフ・イズ・ビューティフル』と『モダンタイムズ』の曲に合わせて、このペアとしては新境地のコミカルな演技に挑戦。FSは『韃靼人の踊り』。エキゾチックな衣装、凝った出入りのリフトやツイスト、ロシアらしい絢爛なプログラムをお楽しみあれ。
ヴァネッサ・ジェームズ/モルガン・シプレ
フランス代表
ジェームズはカナダ出身アメリカ育ちで、イギリス代表の女子シングル選手としてキャリアを始め、ペア転向し、フランスに移籍してヤニック・ボヌールとのペアでバンクーバーオリンピックに出場。その後解散し、パートナーに選んだのがジュニアのシングル選手だったシプレ(当時19歳での転向)でした。2011-12シーズンから国際大会にデビューし、翌シーズンには世界選手権で入賞とハイスピードで成長を続けています。双方のシングル経験からジャンプ系が得意で、今季からなんと3T-3Tのコンビネーションに挑戦。凝ったダンスリフトから入るスロージャンプも、飛距離があり大変質がいいです。ジェームズは167cmとペア女子では破格の高身長ですが、2人ともすらりとしていて、並んで立つだけでも見目麗しいカップルバランスも武器になっています。
SPは『ミニー・ザ・ムーチャー』と『ジャンピン’ ジャック』を組み合わせた軽快でダンサブルなプログラム。映画『天使と悪魔』の音楽を使ったFSは、3T-3Tもさることながら、氷面を大きく使うコレオシークエンスもペアならではの魅力を発揮しています。
マリッサ・カステリ/サイモン・シュナピア
アメリカ代表
40cmの身長差を生かしたダイナミックな演技が魅力のペア。2012年の全米選手権5位の結果で代表チーム入りを逃し、一時期は解散を考えたという2人ですが、思い直して競技続行。翌年全米で初優勝し、今季も連覇して、全米チャンピオンとしてオリンピックを迎えました。ちなみにシュナピアはご両親がロシア人でモスクワ生まれ、1歳の時にアメリカに移住したため「(ロシアとの)縁は知ってるけど、アメリカに来てからの記憶しかない」との本人談ですが、初のロシアでの試合にどういう感慨を持っているでしょうか。
4回転にも挑んでいる高く豪快なスロー、持ち上げられた上でさらにカステリが反り返るリフトの高さなど、見栄えのする大技が揃います。振付やつなぎの動作で見せる、カステリのきびきびとした動きも好印象。サンタナの曲を使用したSP『Black Magic Woman/Smooth』、映画『007』シリーズのサントラをつないだFSと、格好いい系のプログラム2本を揃えました。
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