Nobunari ODA gave color to Japan Skates
Our Japanese correspondent Aiko interviewed Nobu before Worlds, @ Kansai University Ice Arena 関西大学アイスアリーナ.
thanks to: PAJA for illustrations
by AIKO SHIMAZU 島津愛子
March 29, 2011 in Osaka

織田信成 Nobunari ODA © David Carmichael
2010-11SP"Storm"


☞ in English


Japan’s Crisis

織田選手は、被災地の赤ちゃんやお母さん達に、救援物資として育児用品を送られました。

"少ない力ですが、自分が出来ることっていうのは必ずあると思うんです。義援金の呼びかけですとか。言い訳になってしまうのですが今は試合に向かっている状況で、自分が出来ることを早く実行に移したいと思っています。"

Japan Skates では、東日本大震災に関する記事を予定しており、織田選手にもお話を頂戴しております。


JS: Japan Skates の Mark も4月にパパになります。ということで、何度も聞かれた質問かと思われますが、最後の話納めにもう一回だけお願いします!Q. 「パパになられて、いかがでしたか?」

NO: 守るべき存在が出来たということですね。今までは自分を優先して生活してきたのですが、今は子供を一番に優先して行動するようになりました。そういった意味では、考え方や人生観がすごく変わりました。

JS: それが、プログラムにも活きていますね?

NO: 今までは「良い演技をしてよろこんでもらいたい」という気持ちだったのですが、その気持ちに加えて、いつか物心ついた息子が演技を見られるようになった時「息子が恥じないように」という気持ちで臨んでいます。

JS: それから、パパになられたこともそうですが、『結婚』も大いに影響されているんじゃないかな、って。⋯なんのお話か分かりませんが、私はまだ、結婚というものが何たるか、分かってなくて。

NO: (苦笑)

JS: 付き合っていて同棲もしていてそういう話も出るんですが、その彼彼女の関係と結婚との違いが分かってなくて。

NO: (苦笑)

JS: ただ、自分が思うに、結婚って「約束」なのかな、と。「ずっと一緒におるよ」っていう。その約束が女の子からすると一番うれしいし、男の子はその約束で力が湧くのかな、と思うのですが、織田選手は御結婚されていかがでしたか?

NO: 僕は、実は結婚願望が強くて。10代の頃から「好きなひととめぐり会って結婚して、家族で一緒に頑張っていきたい」と思っていました。

JS: 10代から!

NO: もちろん、今まで一人で頑張ってきたわけではなく、ずっと皆さんに支えられて頑張って来られたのですが、10代の頃は、練習も厳しく個人競技ゆえに独りで悩むことも多かったので。ずっとそばにいてくれて励ましてくれる、そういうひとがいてくれたらな、って。結婚したらそうなるのかな、と思っていました。昨年の4月に結婚して、同棲はしていなかったので毎日そばにいて、「今日調子悪かったなぁ」「明日大丈夫なんちゃう?」とか、そんなたわいのない会話でもすごく幸せを感じます。⋯それが、結婚なのかな、と。

JS: 【結婚: 一緒に頑張る → 幸せ。】と。

NO: 同棲との違いは?って言われたら、分からないですけどね(笑)

JS: (笑)

NO: 自分の中の「結婚」というのは精神的な繋りで、それが与えてくれるものは大きいです。

JS: 10代からそう思ってる兄さんもいるのかー。

NO: 僕、結構寂しがり屋なので(笑) 10代だと、どうしても親には反抗心がちょっとあったりして素直になれへんかったし、友達でもスケーターの友達にはスケーターの悩みを分かってもらえるのですが、毎日顔を合わせることはないですし。結婚して、自分の寂しがりな部分が癒されているなぁ、と思います。

JS: ほぅー。⋯『結婚』、すごい力になっていますね!

NO: そうです!スケートは同じかもしれないですけど、気持ちとしては全然違います。

JS: いえ!スケートも変わっています!昨季のまさかの世界選手権から、今季のGPFではショートで4T-3T(GOE+2.29!)を決められましたよ!結婚、すごいなぁ。

NO: そんな感じで(笑)

JS: 結婚、よく分かりました!また、[10代から結婚願望ある兄さんの謎]も解決ですよ。ありがとうございます!

NO: 周りの友達に結婚願望を話したら、「ちょっと変わってるなぁ」って言われてましたよ。

JS: でも、同志はいますよ。自分が目撃しています。そういう兄さんは、10代からそう思うんですね。

NO: そう思っていた時に、今の奥さんと巡り会えて。

JS: 純愛かー。⋯奥様は、信成さんからの「約束」がなによりうれしかったと思いますよ!

NO: あ⋯ありがとうございます!


JS: 昨季のフリーの"チャップリン"は、これぞ織田信成!っていうマスターピースになったと思うのですが、その"チャップリン"からの今季のフリー"Piano Concerto No1No2 (by Grieg)"のプログラム作りは大変だったのではないでしょうか?

NO: 曲は、振付のセバスチャン・ブリテンさんに選んでもらいました。これまで、チャップリンや座頭一等、キャラクターのあるプログラムを演じてきたので、クラシックっていうのを最初に聞いた時には「出来るのかな?」という不安のようなものは多少ありました。でも、練習を重ねるごとにどんどん曲が好きになってきて、曲を表現するということがちょっとずつ体で分かるようになってきたので。"チャップリン"とはある意味真逆のプログラムになったのですが、自分としては、先生にこの曲を選んで頂いてよかったなと思っています。


JS: 今季のショート"Storm"は、織田選手の動きと音楽のタッチがぴったりで、またもうひとつマスターピース来たな、と熱狂しています!また、吉田兄弟さんは国際的な人気があって、世界の皆さんに好まれる「和」のプログラムだと思います。

NO: この曲は、ファンの方に「この曲どうですか?」って教えて頂いたんです。それで、すごくかっこいいなと思って、セバスチャンに持って行ったら「これはイイ!」ということになり、編曲して今の形になりました。僕自身、すごく気に入っています。

JS: そう!ファンクのグルーヴもあるし、とってもお似合いです!

NO: ありがとうございます!


JS: ベテランの域に入られて、エレメンツだけではなくプログラム全体をお客さんに見せるということをより考えられているのかな、と思っているのですが、どのように取り組まれているのでしょう?

NO: 昨シーズン、プログラム全体の表現力という面をニコライ先生(モロゾフコーチ)に指導してもらって、ちょっとずつ表現することが分かってきました。ただジャンプを飛んでスピンをして⋯というのではなく、それを『どう見てもらうか』ということの大切さを先生に気付かせてもらいました。今季のプログラムも、エレメンツをどう和風っぽく見せるのか・どうクラシックっぽく見せるのか、そう考えるだけでも技のひとつひとつがすごく変わってきます。例えば、ショートだったら、キレよくジャンプを飛ぼう、とか、フリーは、やさしいタッチのところではやさしくふわっと飛ぼう、とか。小さな意識かもしれませんが、自分にとっては、大きな変化かな、と思っています。

JS: 音楽のイメージをエレメンツでも見せる、ということですね。


JS: 昨季のお話で遅まきになってしまい申し訳ないのですが、"チャップリン"で「人生のはかなさ、せつなさを表現したい」とおっしゃっていて、私は「スゴイぞ!」とずっと思ってました。喜怒哀楽の果てにお笑いこそある!とか、幸せへの階段、それがお笑い!とか、humorユーモアは humanityヒューマニティから生えたしっぽ!みんな持ってる!とか、そう妄信している自分からすると「よくぞ!言ってくれた!やってくれた!」って、やんやの拍手喝采でしたよ。


織田信成 Nobunari ODA © Paja
2009-10FS"Charlie Chaplin"


NO: (笑) チャップリンを自分なりに調べた時に、喜劇王の反面かなしい人生でもあった、ということが分かって。心の中に哀しみはあるけれども、人には笑いを与えたい、みたいな。チャップリンと似た境遇ではありませんが、僕も人を笑かしたりするのがすごく好きで。でも、だからと言って底抜けに明るい性格ではないんです。そういう面を出して演じられたらな、と。「人生には、はかなさ、せつなさもあるけど、たのしさがある!」っていうことを伝えられたら、と思っていました。


織田信成 Nobunari ODA © paja


JS: 世界選手権に向けてのお話ですが、例えば、2月の四大陸の時、高橋選手は「ジャンプの安定のため上半身強化に取り組んだ」、小塚選手は「PCS(演技構成点)を上げるために練習をして来た」と囲みの取材でお答えになっていました。今季の男子シングルの場合、ジャンプ構成でもスピンステップでも大して差がつかないので、ジャンプのGOEとPCSが勝敗を分けるのかな、と予想しています。織田選手の場合、その両方が高い水準だと思うのですが、どのような目標を持って練習されていますか?

NO: 僕は、四大陸には選出されずユニバーシアードに臨んでいたのですが、全日本が終わってからの目標は、プログラムを完成形まで持っていく、ということです。「これを見せたいんだ!」というプログラムを練習で作ってお客さんに見てもらう、というのが目標です。世界選手権が3月終盤に予定されていたので、2月3月はカナダで練習していて、プログラムが大分よくなってきたな、という自信を持って日本に帰って来ました。「今持っている力で出せる最高のプログラムを、モスクワで!」と、そう思っています。


JS: 高橋選手は、四大陸の時「ワールドでは、皆、パトリック・チャン選手に照準を合わせて戦っていくだろう」とおっしゃっていました。私は、GPFで初めてチャン選手を会場で拝見したのですが、氷との一体感に衝撃を受けました。氷の上に乗ることでパトリックが完成している!かのように思われました。他のスケーターにも認められている理由がよく分かりましたよ。織田選手同様、ジャンプのGOEももらえるし⋯

NO: ジャンプ、キレイですよね。

JS: そう、そんなチャン選手ですが、織田選手はどう思われていますか?

NO: 僕も、机の上で点数を見て比較する時は、まずチャン選手の得点表を見て計算しています。やはりGPFで優勝していますし(織田選手は2位)、今の一番手ですね。すべてのエレメンツが平均以上!ほとんど90点に近い、レベルの高いもので、自分も負けてられへんな、と。本当にスケーティングが滑らかですし、その才能に怠らず自分で一生懸命に努力をしている、というのが一番素晴らしいと思います。

JS: あれは⋯滑らかとしか言いようがない。

NO: あれは、練習しても無理かな、って(笑) 才能ですね。スケーティングがキレイ!と、フィギュアファンの皆さんはよく言われていますね。


JS: GPFの時、みんなが通った氷上の軌跡をずっと書いてたんですけど、パトリックのだけ線がえらいことになってましたよ。走行距離と進行の複雑さだけでも際立っていました。信成さんの道も、もちろん立派でした!

NO: 僕は⋯ (苦笑)

JS: いえいえ。軌跡には、個性が出ますね。トマシュ(ベルネル選手)なんかは、サークルみたいなのが多くて、スケーティングがおおらかに感じました。

NO: 動きやすい方向、っていうのが各選手それぞれありますからね。

JS: 会場では、いろんな選手の個性が見られますね。


JS: ⋯その、得点を「計算」してる姿が、見てみたいですねぇ。

NO: (笑) どの選手も皆、やってますねぇ。試合が終わったら得点表が出るので、それを比較して。それから、自分の得点を見て、ジャッジ9人中一人でも低い点がついていたら、「何で低かったか?」という理由を考えて、そこから対策を練っていきます。


JS: モスクワでは、皆さんがよろこばれる、そして息子さんの誇りになるような、最高のプログラムになりますよう、応援しております!


Worlds in Moscow

He was placed 2nd after SP, finished 6th overall, due to a costly mistake in FS - he attended his 3T x 3 times, to lose his point on 3A-3T (base value: 12.6).

SP 2nd place
81.81 TES43.37(2) PCS38.44(3)
{4T -2.43, 3A +2.00, FCSp4 +0.36, 3Lz-3T +1.00, CCoSp2 +0.86, SlSt3 -0.03, CSSp4 +0.71}

► Quick Quote
I'm very pleased with my placement today. It was surprising, because I made a mistake on the quad and also wobbled on the footworks. But I had a quad in SP, because I thought it was necessary and that paid off. Last Worlds, I finished 28th in SP, so, placed in second this time is really nice and I'm happy to get a small medal of SP. I want to continue the same way.

► More from press conference
I also wanted to finish this season with a very good program, that's what I concentrated on, then I could give my very best performance out there today. Knowing Patrick(1st place after SP), I know he will perform his best tomorrow, so what I have to do is to put out my best. I don't know if I can do this very well and also I don't know if I can catch up to you, Patrick, but I hope I will do my best.

FS 9th overall 6th 232.50
150.69 TES72.25(12) PCS78.44(4)
{3T-3T +1.40, 3A*-3T*(invalid element), 3F +1.30, CiSt3 +0.79, FCCoSp3 +0.14 // 3A +1.71, 3Lz-2T-2Lo +0.30, 3Lo +1.10, 3S +0.80, 2A +0.57, ChSt1 +1.43, FSSp4 +0.29, CCoSp4 +0.79}
(Nobu's PPC{4T,3A-3T,3F//3A,3Lz-2T-2Lo, 3Lo,3S-3T, 2A})

► Quick Quote
I am really disappointed with my performance, because I had been training not to do these mistakes… (He had done the same mistake before.)

► 3 days after FS, for Japan Skates
大きなミスがあり順位を落とす結果になってしまいましたが、腐らず頑張りたいと思います。


左膝の怪我に関して

織田選手は、今年2月頃から左膝に痛みを抱えていましたが、5月の検査の結果、けん断裂が判明しました。


Yuzuru HANYU 羽生結弦, Daisuke TAKAHASHI 高橋大輔, Shizuka ARAKAWA 荒川静香, Nobunari ODA 織田信成, Fumie SUGURI 村主章枝 © Paja
Yuzuru, Daisuke, Shizuka, Nobu, Fumie

☞ "Remember" Shizuka ARAKAWA 荒川静香 - Nobunari ODA 織田信成 - Fumie SUGURI 村主章枝 - Yuzuru HANYU 羽生結弦 - Daisuke TAKAHASHI 高橋大輔 東日本大震災を『忘れない』


☞ Nobu can see clearly now 2012年1月 次回のインタビュー

☞ Nobu's finale should be "usual" 2013年3月 3回目のインタビュー (on Pigeon Post)